2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北明 大洲 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 客員研究員
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Keywords | ぶどう膜炎 / GGA / 熱ショック蛋白 / HSP / 紫外線角膜炎 |
Research Abstract |
GGA(geranylgeranylacetone)を大量経口投与することによりマウスやラットで各種臓器に熱ショック蛋白(HSP)が誘導されることが報告されている。我々はGGAを事前に投与しておくことで、マウス汎ぶどう膜炎モデルが軽症化することを報告した。これまでストレス蛋白とされてきたHSP70が逆に生体に有用であるという結果である。 本研究ではこの発見を発展・応用し、HSPをあらかじめ誘導しておくことで他の炎症性眼疾患を軽症化できるか検討している。動物モデルとして、エンドトキシン誘発ラット急性前部ぶどう膜炎モデル(EIU)とマウス紫外線角膜炎モデルを用いた。具体的にはGGAを大量投与したのちに眼炎症を惹起し、臨床的・病理組織学的に検討した。 EIUは既に確立されたモデルであるが、電気性眼炎や雪眼炎(ゆきめ)のモデルである紫外線角膜炎モデルは当教室で作成し、本年度安定した実験系を確立した。近年オゾン層の破壊と地球規模の気候変動に伴い、地表上の紫外線量が急激に増大しており、本モデルは今後重要性を増す動物モデルと考えている。 研究計画書に則り、現在予備実験段階であるが以下の結果を得た。 (1)GGAの投与により、ラット前眼部(虹彩・毛様体)やマウス角膜にHSP70が誘導される。 (2)HSP70はストレス蛋白であるが、内因性に誘導した場合には組織保護的に作用する。 平成20年度には実験回数を重ねることで再現性を確認し、引き続き解析を進める予定である。 また、本薬剤は既に経口の胃薬として処方されているため、基礎実験終了後ヒトでの臨床応用が比較的短期間で可能であろうという利点がある。そのための基礎データとして北海道大学病院眼科のぶどう膜炎患者の原因や年齢性別分布を1240名の統計としてまとめた。この結果は論文として眼科雑誌に投稿し、受理された。
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