2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中による右大脳半球損傷患者のコミュニケーションの構造化とアプローチ方法の構築
Project/Area Number |
19890011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高山 望 Hokkaido University, 大学院・保健科学研究院, 助教 (50451399)
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Keywords | 看護学 / 臨床 / 脳・神経 / 高次脳機能障害 / コミュニケーション |
Research Abstract |
1. 研究目的 1) 脳卒中による右大脳半球の損傷部位と広がりを判断した上で、対象者とその周囲の人々(看護師、リハビリテーション部技士、家族)との間のコミュニケーションの実際を照らし合わせて、疾患別、損傷部位別、身体要因別(身体麻痺・日常生活動作)、「無視症候群」の階層レベルごとに解析する。 2) 右大脳半球損傷患者に対してコミュニケーションに関するインタビューを行うことによって、当事者の視点からみたコミュニケーションの課題を明らかにする。 2. これまでの研究成果 昨年度研究対象者の紹介が4名と少なかったため、研究調査施設を2施設から3施設に拡大し、対象者8名を紹介していただき調査を実施した。これまでの対象で明らかになったことは、損傷部位がつかさどる大脳機能がコミュニケーションに影響を及ぼしているようだ。カテゴリーとして、(1) 【わからない】(言葉、モノの使い方 : 側頭葉 & 頭頂葉)順序、人の顔、道順、空間 : 頭頂葉)、(2) 【記憶がない、想い出せない、想起できない】(海馬)、(3) 【意思表示が強い、主張的、感情的】(前頭葉 & 大脳基底核)、(4) 周りとの調和がとれない(前頭葉)、(5) 【感情のコントロールが利かない、うつ的】(大脳基底核)の、5つのカテゴリーに分けられた。また、身体要因として日常生活動作が著しく低下した対象者は、無言で一方通行的なコミュニケーションのパターンがみられると考えられる。 3. 今後の研究課題 今後の課題として、一つに対照群を置き、さらに対象数を重ね比較検討していくことである。二つ目に、対象者自身の語りを質的に記述し帰納的に分析することで、当事者の視点からみたコミュニケーションの課題を明らかにするという点に取り組んでいる.
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