2008 Fiscal Year Annual Research Report
異種動物由来材料およびフィーダー細胞を用いないウサギ培養角膜上皮シートの作製
Project/Area Number |
19890026
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保田 享 Tohoku University, 病院, 助教 (50451589)
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Keywords | 培養角膜上皮シート / フィーダーフリー / 温度応答性培養皿 / 無血清 / 角化 / 重層化 |
Research Abstract |
本年度は申請時の研究計画に則して、フィーダー細胞は用いずに、培地は市販の表皮培養用培地を基本培地として角膜上皮シートを作製した。具体的には、ウサギの角膜上皮幹細胞をカルチャーインサート型の温度応答性培養皿上で作製し、回収可能な培養角膜上皮シートを作製した。前年度の研究結果より、低温度処理にて回収可能な角膜上皮シートは作製可能であったが、ヘマトキシリンエオジン染色にてケラチン1、10の染色が見られることからも角化している像が観察された。 そこで本年度は、培地および培地への添加物による細胞シートへの影響を検討した。表皮細胞培養用培地とAPFと呼ばれるfibroblast用の培地、そしてそれぞれの培地にS7、ARF、KGF(keratinocyte growth factor)という添加剤を加えて重層化の程度と低温度処理にて細胞シートが回収できるかを評価した。昨年の結果より、表皮培養用培地+S7では角化したシートが得られていたが、さらにKGFを添加した条件では、重層化の弱いシートが得られ、S7の代わりにARFとKGFを添加した条件では細胞が増殖せずにシートが剥離できなかった。また、fibroblast用の培地に代えて同様の添加剤で検討しても、重層化が弱くシートを剥離することができなかった。2年間の本研究にて得られた成果としては、フィーダー細胞と血清を用いずに角膜上皮細胞を培養するためには、表皮培養用培地とS7に加えて、重層化を促進するために培養途中でカルシウム濃度を上げることとカルチャーインサート内の培地量を減らすエアリフト法を併用する必要があることが分かった。ただし、この条件においても通常重層扁平上皮である角膜上皮が角化することは避けられなかった。 今後の研究において、角化をおさえるためのさらなる条件の検討が必要である。
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Research Products
(5 results)