2008 Fiscal Year Annual Research Report
BMP依存性骨芽細胞分化のTNF/JNKシグナル経路による調節機構
Project/Area Number |
19890027
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 忠明 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 助教 (50431606)
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Keywords | BMP / JNK |
Research Abstract |
本研究は、骨芽細胞分化を促進するBMPシグナルの、TNFシグナルによるBMP受容体レベルでの機能調節機構等に焦点を当て、骨吸収性サイトカインによる骨芽細胞分化抑制の分子機序の一部を解明することを目的としている。 BMPは、骨格形成に必須の増殖因子であり、膜受容体を介した下流経路活性化により生理作用を発揮する。-方、II型BMP受容体(BRII)は、そのC末端領域にある高度に保存されたThr977-Pro配列がJNKIによりリン酸化される。平成20年度は、BRII-Thr977の可逆的リン酸化によるBMP下流遺伝子の発現特性と細胞機能が受ける影響を検討するため、Flp-In/T-REx系によりBRII[WT]またはBRII[T977A]遺伝子が安定導入された一対の細胞株を準備し、両者の表現型の差異を検討した。その結果、BMP下流遺伝子では、Id1発現量のBMP処理による初期変動率に差が認められた。また平BRII[WT]発現細胞で生じるBMP依存性細胞増殖亢進が、BRII[T977A]発現細胞では生じないことが示唆された。更にこれら細胞株を用い、BRII-Thr977の変異がBMP経路とTNF経路とのクロストークに及ぼす影響を検討した。DNAチップにより、BRII[WT]発現細胞でBMP処理により2倍以上シグナル強度が変動し、更にTNF共処理でシグナル強度が2倍以上変動する遺伝子群を分析し、201の遺伝子を抽出した。この遺伝子群を更に比較解析したところ、IL1R1を始め、BRII[T977A]発現細胞にてシグナル強度の変動傾向がBRII[WT]発現細胞と異なる遺伝子群が抽出された。 これらの結果は、BRIIのThr977-Pro配列が弐、正常なBMP依存性細胞機能調節に必要なことを示唆する。今後こうしたモデルを更に発展させ、骨再生療法の分子基盤構築に貢献したいと考えている。
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