2007 Fiscal Year Annual Research Report
矯正的歯の移動時の歯周組織におけるCTGFとアポトーシスの役割
Project/Area Number |
19890030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
酒井 雄一 Tohoku University, 病院, 助教 (00451609)
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Keywords | 歯学 / 歯科矯正 / 歯の移動 / 骨リモデリング / CTGF / アポトーシス |
Research Abstract |
矯正的な歯の移動の際認められる骨リモデリングでは、歯槽骨や歯根膜などで構成される歯周組織で多くのタンパクと遺伝子の発現レベルの変化が知られているが、その詳細は明らかでない。CTGFは、骨芽細胞、線維芽細胞や血管内皮細胞の動態を制御することが報告されている。一方、ラットの歯の移動で発現するCTGFの役割は、歯槽骨牽弓側で歯の移動を開始して12時間後という初期に強く発現していることから、骨芽細胞による骨形成に影響を与えているだけでなく、その他の役割も担っていることが推測された。また、大動脈平滑筋細胞や腎線維芽細胞などにおけるアポトーシス誘導に、CTGFの関与が示唆されている。アポトーシスは、生物の発生過程や恒常性の維持に必須な現象であるが、作用機構やシグナル伝達系については不明な点が多い。以上のことから、矯正的歯の移動時の歯周組織でのアポトーシスにおけるCTGFの役割を解析することとした。 我々のこれまでの研究から、マウスを用いた実験的歯の移動モデルにおいて、CTGF mRNAは圧迫側の歯根膜および歯槽骨に発現し、さらにその経時的発現パターンがTUNEL陽性骨細胞の発現パターンと類似していることが明らかとなった。これらの結果は矯正的歯の移動の際認められる骨細胞のアポトーシスの亢進に、CTGFが関与することを示唆している。現在、ニワトリ胚頭蓋骨から採取してさらに0B7.3で同定した骨細胞のin vitroの系で、我々が開発した機械的刺激装置を用いてメカニカルストレスを付与した際のCTGFとアポトーシスの関係について分子レベルでの解析を進めている。また、骨芽細胞や破骨細胞についても同様の検索をしており、それらの研究から得られた成果を、今後国際誌に発表していく予定である。
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