2008 Fiscal Year Annual Research Report
矯正的歯の移動時の歯周組織におけるCTGFとアポトーシスの役割
Project/Area Number |
19890030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
酒井 雄一 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 大学院非常勤講師 (00451609)
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Keywords | 矯正歯科 / 歯の移動 / 骨リモデリング / CTGF / アポトーシス |
Research Abstract |
矯正的な歯の移動の際認められる骨リモデリングでは、歯槽骨や歯根膜などで構成される歯周組織で多くのタンパク質と遺伝子の発現レベルの変化が認められる。CTGFは、骨芽細胞、繊維芽細胞や血管内皮細胞の動態を制御することが知られている。また、大動脈平滑筋細胞や、腎繊維芽細胞などにおけるアポトーシスの誘導に、CTGFが関与することが示唆されている。以上のことから、我々は矯正的歯の移動時の歯周組織におけるアポトーシスの役割を解明することを目的としてCTGFに着目して検索を行った。 我々はマウスを用いて矯正的歯の移動モデルを作製し、in situ hybridizationによりCTGFの遺伝子発現を検索した。さらに、TUNEL、ISOL染色によりアポトーシス陽性細胞の発現を経時的に観察した。その結果、圧迫側の骨細胞では、CTGFが歯"の移動開始から12時間後まで増加し、その後経時的に減少したことから、歯の移動のメカニカルストレスが加わった初期において一過性に歯槽骨圧迫側で多く発現することが明らかになった。アポトーシスについては、TUNEL陽性骨細胞が歯槽骨圧迫側において歯の移動開始から12時間後まで増加し、その後経時的に減少した。また、ISOL陽性骨細胞が歯の移動12時間後、歯槽骨圧迫側に多く認められた。これらの結果は、機械的刺激によって誘導されたCTGFとアポトーシスの発現が、矯正的歯の移動時の骨リモデリングにおいて重要な役割を担っている可能性を示唆している。これらの研究から得られた成果は、既に国際誌に投稿し受理された。
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