2007 Fiscal Year Annual Research Report
核内タンパク質のチロシンリン酸化による細胞核制御機構の研究
Project/Area Number |
19890039
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
福本 泰典 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 助教 (10447310)
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Keywords | 非受容体型チロシンキナーゼ / タンパク質チロシンリン酸化 / 細胞核機能 |
Research Abstract |
細胞内において非受容体型チロシンキナーゼ(NRTK)と相互作用するタンパク質を,すでに報告されている方法(Methods Enzymol,370,430,2003)に従ってNRTKを含むタンパク質の複合体として精製した。最初に,NRTKの一つであるLynを核局在化シグナルとの融合タンパク質として安定に発現する細胞株を樹立した。このNLS-Lyn安定発現株よりNLS-Lynと相互作用するタンパク質をNLS-Lynを含むタンパク質複合体として精製し,その構成因子を質量分析によって決定した。その結果,NLS-Lynと相互作用するタンパク質として,細胞周期,RNA代謝およびクロマチン制御に関わるタンパク質などが同定された。近年受容体型および非受容体型チロシンキナーゼが核内に存在することが示され,その細胞核機能への関与に興味がもたれているが,その機能と分子メカニズムに関する理解はまだ進んでいない。今回NRTKの一つであるLynの核内における相互作用タンパク質として細胞周期,RNA代謝およびクロマチン制御に関わるタンパク質が同定されたことは,それぞれのプロセスにおいてNRTKによる制御が存在する可能性を示している。 一方で,NLS-Lynの安定発現株は細胞周期とDNA損傷応答に特徴的な表現型を示し,核内においてNRTKが細胞周期とDNA損傷応答に関与している可能性が示された。 これまでのNRTKの核内での機能に関する報告の中では特にタンパク質-タンパク質相互作用に関わる報告がほとんどなされておらず,今回の我々の結果は今後のチロシンリン酸化による細胞核制御機構の解析のなかで重要な橋頭堡となるものである。
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