Research Abstract |
本年度は,マウス糸球体由来の初代血管内皮細胞培養細胞を用いてMyeroperoxidase(MPO)抗体標的分子の特定を中心に行い,さらに次年度のマウスモデルを用いたin vivo実験に利用できる条件を検討した。 1.糸球体血管内皮細胞に発現するanti-MPO抗体のターゲット分子の特定 Western Blottingを用いて糸球体血管内皮細胞に発現するanti-MPO抗体のターゲット分子を検出したところ,anti-MPO抗体特異的なバンドが3種類ほど確認できた。しかし,非特異的なバンドも多数見られるため,マススペクトロスコピーで解析するには至っていない。非特異的バンドを出来るだけ少なくするために,現在細胞膜フラクションを精製して免疫沈降を行っている。また,新たな知見として,anti-MPO抗体に反応しない培養内皮細胞を発見することが出来たため,これをネガティブコントロールとしたターゲット分子のスクリーニングを行う予定である。 2.In vivoにおけるanti-MPO抗体による接着分子発現量上昇の確認 Anti-MPO抗体を投与したC57BL/6マウスから腎臓,腎糸球体,肝臓,肺,胸部大動脈を摘出、調製し,それらの接着分子発現量を検討するため,cDNAを合成した。現在これらをRT-PCRを用いて解析中である。 3.量子ドットのanti-MPO抗体へのタギングとこれを利用したイメージングの条件検討 国立国際医療センター研究所との共同研究により,Anti-MPO抗体を量子ドットでタギングすることに成功し,これを用いて炎症性サイトカインで刺激した好中球のMPOの細胞膜への表出を検出することができた。さらに,この量子ドットラベルanti-MPO抗体をC57BL/6マウスに投与したところ,肺,脾臓,肝臓によく集積するものの,腎糸球体への集積も確認することができた。
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