2007 Fiscal Year Annual Research Report
非平面アミド構造を持つ新規アミノ酸オリゴマーの高次構造とその制御
Project/Area Number |
19890046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾谷 優子 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教
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Keywords | 合成化学 / 非平面アミド / 非天然アミノ酸 / オリゴマー / 高次構造 / チオアミド / 計算化学 / 温度可変NMR |
Research Abstract |
タンパク質やポリペプチドの2次構造の構築においてアミド結合の平面性と水素結合が重要であるという認識がある。このような規則構造の構築を解明する目的において基底状態において非平面アミド構造を誘起するアミノ酸構造単位の開発は有用であると考え、本研究に着手した。今年度は、オリゴマーの高次構造を解析する前にモノマー構造の詳細な構造解析を行いアミドおよびチオアミドの非平面化およびシスートランス異性化の制御について興味深い知見を得た。(1)二環性アミノ酸オリゴマーの構造固定化研究:非平面アミド構造を常に取ることが当研究室で見出されている二環性の7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンアミドに着目し、橋頭位への置換基導入によるアミドのシスートランス平衡への効果を調査した。橋頭位にメチル基を導入した二環性アミド化合物が非平面化を起こし、シス体優先的に存在することを結晶中および溶液中で確認した。これを参考にして、橋頭位にメチル基を持つ二環性βアミノ酸誘導体の前駆体を合成した。(2)チオアミド結合を用いた非平面チオアミドオリゴマーの高次構造の制御:一般的にアミド結合よりもチオアミド結合は平面構造を強く指向することが知られており、非平面化に関する研究は少ない。今回本研究者らは7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を持つ二環性チオアミド化合物、および単環性・非環性チオアミド化合物の結晶構造・溶液構造について詳細な調査を行い、二環性チオアミド化合物のチオアミド基が他のチオアミド化合物と比較して顕著に非平面化することを示す結果を得た。さらに、その平面性がThioaroyl基のベンゼン環上の置換基によって制御可能であることを明らかにした。現在、本骨格を有するβアミノ酸のチオペプチドを合成し溶液構造を解析中であり、これらの結果はチオアミド結合で代替したペプチドの溶液構造に重要な示唆を与えると期待される。
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