2008 Fiscal Year Annual Research Report
非平面アミド構造を持つ新規アミノ酸オリゴマーの高次構造とその制御
Project/Area Number |
19890046
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾谷 優子 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60451853)
|
Keywords | 非平面アミド / 非天然アミノ酸 / チオアミド / オリゴマー / 高次構造 / 計算化学 / 合成化学 / シストランス異性化 |
Research Abstract |
タンパク質やポリペプチドの2次構造の構築においてアミド結合の平面性と水素結合が重要であるという認識がある。本研究者らは二環性の7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンアミドが顕著に非平面化した構造を持つことを報告しており、このような非平面アミド構造を誘起するアミノ酸構造単位の開発は有用であると考え、本研究に着手した。 1.二環性アミノ酸オリゴマーの構造固定化研究(4位置換誘導体)前年度の研究で、橋頭位(4位)にメチル基を持つ7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンアミド化合物がシス体優先的に存在することおよび非平面アミド構造を有していることを結晶中および溶液中で確認した。今年度は、橋頭位にアルキル基やエステル基など様々な置換基を持つニ環性βアミノ酸誘導体を合成し、その光学分割に成功した。 2.チオアミド結合を用いた非平面チオアミドオリゴマーの高次構造の制御一般的にチオアミド結合はアミド結合よりも平面構造を強く指向することが知られており、その非平面化に関する研究は少ない。今年度において本研究者らは7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を持つ二環性チオアミド化合物、および単環性・非環性チオアミド化合物の結晶構造・溶液構造について詳細な調査を行い、二環性チオアミド化合物のチオアミド基が他のチオアミド化合物と比較して顕著に非平面化することを示した。さらに、その平面性がチオアロイル基のベンゼン環上の置換基の電子効果によって制御可能であることを明らかにした。また、本骨格を有するβアミノ酸のチオペプチドが結晶構造および溶液構造においてトランス体優先性を持つことを明らかにし、規則構造の存在を示唆した。一方、構造の一部が対応する単環性のβプロリンのチオペプチドは規則構造を取らなかった。これらの結果はチオアミド結合で代替したペプチドの溶液構造に重要な示唆を与えると期待される。
|