2007 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症ショック治療薬開発に向けたMD-2とTLR4受容体の構造生物学的研究
Project/Area Number |
19890048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大戸 梅治 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (90451856)
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Keywords | 自然免疫 / リポ多糖 / エンドトキシン / 構造生物学 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
グラム陰性細菌感染症に起因するエンドトキシンショックは生命を脅かす非常に重篤な症状であり,その治療薬の開発が待望されている。この症状を引き起こす原因物質であるリポ多糖を認識して,過剰な免疫応答を惹起する自然免疫系の蛋白質としてMD-2とTLR4受容体が同定されているが,リポ多糖認識およびシグナル伝達の分子機構は明らかになっていない。研究代表者は、MD-2およびTLR4蛋白質がリポ多糖を認識して免疫応答を引き起こす機構を三次元構造から明らかにするため,これらの蛋白質の大量発現系の構築、精製、性状解析、結晶化と結晶構造解析を進めた。 TLR4とMD-2の複合体構造を明らかにするために,C末端を欠損させたヒトTLR4の細胞外ドメインの酵母で発現させ,N末端側100残基程度の発現が確認できた。発現させたTLR4欠損体は糖鎖が付加されていた。今後はMD-2との結合の確認や,より長い断片を得るために他の蛋白質との融合蛋白質として発現させる予定である。 ヒトMD-2とアゴニストであるRe-LPSの複合体を陽イオン交換カラムにより精製し結晶化試料を得た。得られた試料を用いて三方晶系の結晶を得て,放射光X線を用い4.5Åまでの回折強度データを収集した。分子置換法により位相を決定し,分子のパッキング情報を得ることができたが,アゴニストとMD-2の詳細な構造情報は得られていない。今後はさらに良質の結晶を得る条件を探索し,高分解能でのMD-2とアゴニストとの複合体の構造解析を目指す。
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