2008 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症ショック治療薬開発に向けたMD-2とTLR4受容体の構造生物学的研究
Project/Area Number |
19890048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大戸 梅治 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (90451856)
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Keywords | 自然免疫 / リポ多糖 / エンドトキシン / 構造生物学 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
グラム陰性細菌感染症に起因するエンドトキシンショックは生命を脅かす非常に重篤な症状であり,その治療薬の開発が待望されている。この症状を引き起こす原因物質であるリポ多糖を認識して,過剰な免疫応答を惹起する自然免疫系の蛋白質としてMD-2とTLR4受容体が同定されているが,リポ多糖認識およびシグナル伝達の分子機構は明らかになっていない。研究代表者は、MD-2およびTLR4蛋白質がリポ多糖を認識して免疫応答を引き起こす機構を三次元構造から明らかにするため,これらの蛋白質の大量発現系の構築、精製、性状解析、結晶化と結晶構造解析を進めた。 平成20年度は,昆虫細胞を用いたTLR4とMD-2の発現系を構築した。TLR4の細胞外ドメインのC末端側にトロンビン切断配列とFcダグを付加させて発現させた。Protein A樹脂による精製後,トロンビンによりFcタグを切断しさらにゲルろ過クロマトグラフィーに供することでSDS-PAGEにおいてほぼ単一のバンドのTLR4の細胞外ドメインを得た。培養液1Lあたりおよそ0.1mgの粗精製TLR4細胞外ドメインが得られた。得られた標品が酵母で発現させた単量体MD-2と結合することをゲルろ過クロマトグラフィーにより確認した。また,昆虫細胞においてTLR4細胞外ドメインをMD-2と共発現することにより発現量が上昇し,培養液1Lあたりおよそ0.3mgのTLR4細胞外ドメインが得られた。現在Re-LPSやLPS Raなどのアゴニストとの複合体の結晶化条件を探索中である。 ヒトMD-2単体に関しては,Native-PAGEによりリガンド候補であるdiC14-amidineやdiC16-amidineとの相互作用を示唆する結果を得た。これについても現在結晶化条件を探索中である。
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