2007 Fiscal Year Annual Research Report
NMRを用いたフェレドキシン-キノン還元酵素の機能解明
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19890049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 卓見 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (20451859)
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Keywords | NMR / 膜蛋白質 / 構造生物学 / 転移交差飽和法 / 光合成明反応 / 光化学系I / フェレドキシン / 循環的電子伝達 |
Research Abstract |
安定同位体標識を施したフェレドキシン(Fd)を、大腸菌BL21(DE3)-CodonPlus-RPを用いて大量発現させ、Sepharose 6B、 Resource PHE、 Hiload Superdex 75カラムを用いて、SDS-PAGEにて単一バンドとなるまで精製した。Fdの[2Fe-2S]クラスターは不対電子を持つため、その近傍のNMRシグナルは観測されない。そこで、その影響を見積もるため、Fdの主鎖に由来するNMRシグナルの連鎖帰属を行った。その結果、[2Fe-2S]クラスターの5Å以内に存在するY37-A48およびT76-A79のアミノ酸に対応するシグナルは観測されなかった。次に、Fd上の光化学系Iとの特異的相互作用残基を同定するために、Fdと可溶化した光化学系Iを混合し、TCS実験を行った。さらに、FQRとの相互作用を検出するために、光化学系IおよびFQRのFd結合界面が外側を向いた、right side-outベシクルを用いたTCS実験も行った。両TCS実験の結果を比較すると、K52近傍、D66近傍、V82近傍およびE30-I33は両方のTCS実験においてシグナル強度減少が観測されているのに対し、K4およびD84はベシクルとのTCS実験のみでシグナル強度減少が観測された。このことから、K52近傍、V82近傍、D66近傍およびE30-I33は、PSIとの結合界面上に存在し、K4およびD84はFQRとの結合界面に存在すると結論した。近年、低分子量チラコイド膜タンパク質PGR5がFQRの活性に必須であることが示された。しかし、PGR5がFdと直接相互作用しているか否かは明らかではない。PGR5変異株から調製したチラコイド膜ベシクルを用いたTCS実験における、K4およびD84の強度減少を調べることにより、この点を明らかにしたいと考えている。
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