2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890051
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂田 麻実子 (柳元 麻実子) University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80451805)
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Keywords | Hes1 / 骨髄性白血病 |
Research Abstract |
Hes1の白血病発症における役割について、マウス白血病モデルおよびヒト白血病細胞株の双方について調べた。 C57BL/6マウスの骨髄球系前駆細胞にHes1をレトロウイルスにより強制発現を行ったところ、単独ではin vitroにおいて細胞を不死化するものの、IL3依存性であり、致死量の放射線を照射したマウスへ移植したが、白血化は観察されなかつた。そこで、セカンドヒヅトが必要と考え、bcr/ablと同時に前駆細胞へ導入したところ、白血化を観察した。Bcr/abl単独の導入は前駆細胞では白血化を起こさなかった。 次に、ヒト白血病において、Hes1の発現制御の破綻が実際に関わっているかを調べるためヒト骨髄性白血病細胞株においてHes1の蛋白の発現の有無をWesternblot法により調べた。ヒト骨髄性白血病では、Notch-Hes1シグナルの破綻力が病態に重要であることが知られるヒトリンパ性白血病細胞株と同程度にHes1蛋白を強く発現していた。そこで白血病細胞株についてHes1のcoding領域およびpromoter領域の変異を検索したが、変異は認められなかった。 このことから、マウスにおいて骨髄前駆細胞へのHes1単独の導入により、in vitroでの不死化には十分であるが,in vitroでの白血化には単独では不十分であり、第二の変異と協調して白血化を起こすと考えられた。ヒト骨髄性白血病細胞株においても、メカニズムは不明ながらHes1の高度な発現を認め、病態に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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