子宮内膜症・不妊症の病態における子宮運動異常の役割に関する研究

2008 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19890055
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 原田 美由紀 The University of Tokyo, 医学部付属病院, 医員 (70451812)
• Keywords: 子宮運動 / 子宮内膜症 / 不妊症

Research Abstract

【背景・目的】私達は、子宮運動により子宮内膜にもたらされた機械的刺激が、子宮内服において生化学的シグナルに変換されることをこれまで示し、それが子宮内膜症の病態形成に深く関わることを、特に炎症を例にとり示して.きた。本年度の研究では前年度までのin vitroの結果をモデルマウスを用い、検討した。一方、近年生体内におけるストレスの一つとして、機械的刺激に加え、小胞体ストレスが注目されてきている。小胞体ストレズの、子宮内膜症の病態における役割についても併せて検討した。
【方法】機械的刺激の、in vivoでの検討には、子宮内膜症モデルマウスを用いた。ドナーマウスより採取した子宮内膜に伸展刺激を加えた場合と加えなかった場合で、レシピエントマウスでの病変形成を比較した。小胞体ストレスの検討においては、同意を得たうえでヒト子宮内膜症性卵巣嚢胞より子宮内膜症性間質細胞(ESC)を分離し、TRAIL(tumor necrosis factor-related apoptosis inducing ligand)誘導性アポトーシスにおける、tunicamycin(小胞体ストレス惹起物質)の影響について検討した。
【結果】機械的刺激を付加された子宮内膜により、形成される病変数、癒着スコアは有意に上昇した。Tunicamaycinは、TRAILによるESCのアポトーシスを促進し、またTRAIL受容体DR5の発現も促進すること、DR5の発現抑制によりその効果が失われることから、その機構として、DR5の関与が考えられた。
【結論】機械的刺激が子宮内膜症の病態に関わっている可能性がin vivoにおいても示唆された。また小胞体ストレスも病態において重要な役割を果たす可能性が示され、さらにTRAILとの組み合わせにより新たな治療法の可能性が示唆された。

Research Products

• [Journal Article] Interleukin (IL)-1 beta stimulate migration and survival of first-trimester villous cytotrophoblast cells through endometrial endothlial cell-derived IL-8. (2009)
  • Author(s): Hirota Y, Osuga Y, Hasegawa A, Kodama A, Tajima T, Hamasaki K, Koga K, Yoshino O, Hirata T, Harada M, Takemura Y, Yano T, Tsutsumi O, Taketani Y.
  • Journal Title: Endocrinology. 150 Pages: 350-356
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Tupicamycin enhances the apoptosis induced by tumor necrosis factor-related apoptosis inducing-ligand in endometriotic stromal cells. (2009)
  • Author(s): Hasegawa A, Osuga Y, Hirota Y, Hamasaki K, Kodama A, Harada M, Tajima T, Takemura Y, Hirata T, Yoshino O, Koga K, Yano T, Taketani Y.
  • Journal Title: Human Reproduction 24 Pages: 408-414
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Interleukin-4 stimulates proliferation of endometriotic stromal cells. (2008)
  • Author(s): OuYang Z, Hirota Y, Osuga Y, Hamasaki K, Hasegawa A, Tajima T, Hirata T, Koga K, Yoshino O, Harada M, Takemura Y, Nose E, Yano T, Taketani Y.
  • Journal Title: American Journal of Pathology 173 Pages: 463-469
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] 長期GnRH agonist療法後の凍結融解胚移植により妊娠し得た子宮腺筋症合併不妊症の2 例 (2008)
  • Author(s): 原田美由紀, 平田哲也, 大石元, 藤本晃久, 廣井久彦, 大須賀穣, 藤原敏博, 大井なぎさ, 山村由香, 矢野哲, 武谷雄二
  • Journal Title: 日本産科婦人科学会東京地方部会誌 57 Pages: 361-365
  • Peer Reviewed
• [Presentation] 重度月経困難症を伴う子宮腺筋症を合併した長期不妊症患者における、長期GnRH agonist療法後の凍結胚移植 (2008)
  • Author(s): 原田美由紀、大須賀穣、平田哲也、大石元、藤本晃久、他6名
  • Organizer: 日本受精着床学会
  • Place of Presentation: 福岡
  • Year and Date: 2008-08-29
• [Presentation] 腹腔鏡下手術にて卵巣を温存し得たMassive Ovarian Edemaの一例 (2008)
  • Author(s): 原田美由紀、廣井久彦、大須賀穣、藤本晃久、矢野哲、武谷雄二
  • Organizer: 日本産科婦人科内視鏡学会
  • Place of Presentation: 横浜
  • Year and Date: 2008-07-31
• [Presentation] 長期GnRH agonist療法後の凍結融解胚移植により妊娠し得た子宮腺筋症合併不妊症の2例 (2008)
  • Author(s): 原田美由紀、平田哲也、大石元、他8名
  • Organizer: 日本産科婦人科学会東京地方部会
  • Place of Presentation: 東京
  • Year and Date: 2008-05-17
• [Book] 子宮内膜症これで安心ホーム・メディカ安心ガイド (2008)
  • Author(s): 原田美由紀, 武谷雄二
  • Total Pages: 192
  • Publisher: 小学館