2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890056
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴川 佳吾 The University of Tokyo, 医学部付属病院, 助教 (50447398)
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Keywords | 前庭 / 有毛細胞 / 支持細胞 / 再生 |
Research Abstract |
哺乳類前庭感覚器において、傷害後一定期間が経過した後に有毛細胞の数が増加することが知られているが、その再生の様式については通常有毛細胞が傷害された後に再生する機序としては(1)支持細胞の非対称的な有糸分裂(mitosis)による有毛細胞形成、(2)支持細胞の有糸分裂を経ない有毛細胞への分化転換(transdifferentiation)(3)部分的に傷害を受けた有毛細胞による自己修復(self repair)などが考えられているが、現在のところ一定した見解がない。この機序を解明することは、今後内耳有毛細胞再生の研究をするにあたって、重要な情報となると考えられる。今回の研究では前庭有毛細胞のわずかな再生がいかなる機序で起こっているのかを解明すべく研究を行った。昨年度は、前庭有毛細胞傷害モデルの作成および抗Vimentin抗体による前庭支持細胞のマーキングを行い、これに基づき以下の研究を行った。 体重250〜300gでプライエル反射陽性のハートレーモルモットを用いて、ゲンタマイシン片側鼓室内投与による内耳前庭細胞傷害モデルを作成し、それぞれ2週間後、4週間後、6週間後に断頭、前庭組織を採取した(各群5-6匹)。その際、断頭2週間前よりBromodeoxyUridine(BrdU) を1mg/mlにて調整した飲料水を2週間摂取させた。組織採取ののち、抗Myosin7a抗体による有毛細胞染色および抗BrdU染色による2重染色を行い、前庭感覚上皮上で支持細胞の有糸分裂による前庭感覚細胞の再生の湯有無を検討した。結果、各群において明らかにゲンタマイシ注入側で有毛細胞の脱落がみられた。BrdUとMyo7aの2重染色では、各群とも感覚上皮の中でも基底膜に沿った部位にBrdU陽性細胞が確認されたが、これらの細胞はMyo7a陽性とはならなかった。これにより、前庭有毛細胞の再生様式としては、支持細胞の有糸分裂以外の様式の可能性が高いと考えられた。
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Research Products
(3 results)