2008 Fiscal Year Annual Research Report
慢性期損傷脊髄に対する選択的細胞治療法の開発と神経栄養因子の併用効果
Project/Area Number |
19890068
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
榎本 光裕 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 寄附講座講師 (90451971)
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Keywords | 脊髄損傷 / 細胞移植 / 神経栄養因子 / 神経再生 |
Research Abstract |
移植細胞の培養と調整 ; 胎児ラット海馬から単離した神経幹細胞を培養してFGF2およびPDGFを添加し増殖活性を確認した。さらに栄養因子を除いて神経・グリア細胞分化について確認した。FGF2とPDGF両方を培養細胞に添加したほうがFGF2単独より増殖活性が約1.5倍高かった。栄養因子を除いて3日後に固定して神経分化マーカーによる免疫染色では、両方因子を添加したほうがアストロサイトへの分化がFGF2単独と比較すると約3倍多かった。オリゴデンドロサイトへの分化はどの条件でも全細胞数の数%程度であった。今回、PDGFを添加してアストロサイトへの分化傾向が強い細胞よりもFGF2単独で増殖させ前駆状態を維持した細胞(NPC)を使用した。ラット慢性期脊髄損傷モデルへの細胞移植治療 ; 成ラット胸髄に血管クリップを用いた圧挫損傷モデルを作製し、損傷後6週で損傷脊髄を露出させ空洞周囲にNPC移植を行った。レンチウイルスベクターを用いてGFPでラベルした細胞(GFP群)、GFPでラベルした後、NT3を一部改変しp75受容体に結合しにくいNT3遺伝子を導入した細胞(NT3/-p75群)、培養液のみ投与した群(対照群)の3群を作成した。毎週、下肢運動機能評価(BBBスコア)を行い、移植8週で灌流固定した。組織学的に損傷脊髄・空洞・残存ミエリン体積を推定し、GFP陽性移植細胞の生着面積を計測した。移植時と移植後8週でのBBBスコアはNT3/-p75群でのみ有意な改善があった。組織学的には、NT3/-p75群で残存ミエリン体積が対照群と比較し有意に大きく、損傷脊髄・空洞体積には各群で有意差を認めなかった。GFP陽性の領域は、NT3/-p75群ではGFP群より1.8倍大きかった。脊髄損傷慢性期での細胞移植は、細胞単独では機能回復に不十分であり本研究のように神経栄養因子などを組み合わせた治療が必要となる。
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Research Products
(4 results)