2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890077
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小野 法明 Tokyo Medical and Dental University, 歯学部附属病院, 医員 (20451908)
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Keywords | 歯周組織 / 幹細胞 / 幹細胞ニッチ / 外胚葉性間葉 / 血管内皮 / 血管周皮 / 血管形成 / 微小血管 |
Research Abstract |
歯周組織に存在する幹細胞および幹細胞ニッチを同定するため、未固定非脱灰新鮮凍結切片を用いた免疫組織化学による解析を行った。上皮系細胞マーカーとしてcytokeratin l4(K14)、血管内皮細胞マーカーCD31、幹細胞マーカーとしてStem cell antigen-1 (Sca-1)を用いた。歯周組織において、骨髄腔から歯根膜へ伸びる鞘状の上皮系細胞の集団が認められ、そのネットワークは特に歯根尖部において顕著に観察された。鞘状の上皮系細胞の一部は幹細胞マーカーであるSca-1を発現していた。上皮系細胞が形成する鞘状構造の内部にはSca-1陽性細胞および血管内皮細胞マーカーであるCD31陽性細胞が存在した。鞘状構造の内部における血管腔形成は認められなかった。歯根膜においては、歯根膜線維芽細胞とは著明に異なるFlk-1陽性の球状の細胞塊が歯槽骨近傍に存在し、上皮系細胞が形成する鞘状構造はその一部を構成していた。CD31陽性細胞が鞘状構造から球状細胞塊近傍へ伸張していることが認められた。上皮細胞系が形成する鞘状構造は歯髄腔内にも認められ、根尖部において歯根膜から歯髄腔内に延伸する鞘状構造が認められた。この上皮細胞系が形成する鞘状構造および内部の細胞の幹細胞としての性質を同定するために、核酸アナログであるBrdU (5-bromo-2'-deoxyuridine)を生後9日目から1日2回7日間投与し9週間後に解析するpulse-chase実験を行いBrdUラベル長期保持細胞の局在を解析した。BrdUラベル保持細胞は歯根膜の歯槽骨近傍の細胞塊中に局在することが認められた。鞘状構造を形成する上皮系細胞および内部の細胞の一部はBrdUラベル長期保持細胞であることが認められた。以上の所見より、歯髄および歯周組織においては幹細胞の性質を有する上皮系細胞および血管内皮細胞が鞘状構造を有する細胞集団を形成していることが示唆され、これらの組織の恒常性の維持に関与していることが示唆された。
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