2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌における白金製剤感受性と浸潤能との関連
Project/Area Number |
19890085
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉澤 邦夫 Kanazawa University, 附属病院, 医員 (60452108)
|
Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 白金製剤 / シスプラチン(CDDP) / トランスポーター / ATP7B / siRNA / RT-PCR / Western blotting |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌における白金製剤の細胞内輸送能とその感受性との関連を調べることを目的に、がん浸潤様式(山本・小浜分類)の由来が明確な口腔扁平上皮癌8種(HSC-2, HSC-4, OSC-20, OBC-01, OSC-19, OTC-04, HOC313, TSU)および病理組織切片を用いて実験に供した。次の系統的研究を行ったので、下記する。 研究1. 口腔扁平上皮癌一次症例患者より得られた病理組織切片を対象として、シスプラチン(CDDP)の排出に関わるトランスポーターATP7Bの免液染色を行い、臨床病理学的因子との相関を検討した。 研究2. CDDP長期間暴露しながら継体培養することでCDDP耐性株を作製し、各トランスポーター発現に変化を検討した。 研究3. ATP7BのsiRNA導入を行い、これまでの抑制実験を行った。 研究1の結果、高度浸潤癌症例群では、低度浸潤癌症例群に比べてCDDP排出に関わるとされているATP7Bの発現が強く認められた。 研究2では、RT-PCR法、Western blotting法を用いて細胞内の各トランスポーター発現を検討したところ、CDDP耐性株では親株に比べてATP7Bが強く発現していることが判明した。 研究3では、ATP7B siRNA導入細胞株では、親株に比べてCDDP細胞内蓄積量も高く、CDDP感受性も高く認められた。 上記をまとめると、in vivoにおける高度浸潤癌ではATP7B発現が強く、予後が不良であり、in vitroではATP7B発現が,CDDP排出により細胞内CDDP蓄積量を減少させ、CDDP抵抗性に関与していることが示唆された。 ATP7Bは口腔扁平上皮癌のCDDP感受性マーカーとして治療方針に寄与すると考える。今後は、ATP7Bの耐性メカニズムをさらに解明し、治療に応用できるように研究を進めるべきである。
|