2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂質平面膜法とパッチクランプ法を融合した新しい電気生理測定チェンバーの開発
Project/Area Number |
19890086
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩本 真幸 University of Fukui, 医学部, 助教 (40452122)
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Keywords | イオンチャネル / 脂質平面膜 / パッチクランプ |
Research Abstract |
本研究では従来の脂質平面膜法を改変し、人工脂質平面膜のみならずリポソームや培養細胞など多様な膜系に対応可能な電気生理学的測定法の開発を目指した。本年度は測定チェンバーの改良および実際のイオンチャネル電流測定への応用を試みた。(1)人工脂質平面膜実験:長時間の電流記録を行った際、膜容量が度々減少する問題が挙がった。この現象はガラス隔壁の小孔が膜を安定に保持できず有効な膜面積が減少したためと考えられ、経時変化を定量する実験では大きな問題となる。そこで小孔の立体的な形状をテーパー状に改変したガラス隔壁を用いたところ、膜容量減少の頻度が大幅に改善された。実際6〜8時間にわたり膜容量の変化無しにチャネル電流の経時変化を定量する実験に応用できた。(2)リポソーム実験:巨大一枚膜リポソーム(GUV)の測定に応用可能であったが長時間測定は困難であった。GUVの構造は非常に柔軟なため、溶液かん流などにより隔壁の両側で僅かな圧力差が生じるとその形状を維持できないと考えられた。(3)培養細胞実験:当初、細胞と小孔辺縁部とをギガオーム以上の電気抵抗で密着(ギガシール)させることが困難であった。細胞測定用の直径1μmの小孔は、平面膜実験用の小孔(φ50μm)と同様な高電圧放電による辺縁部の平滑化が行えないためと考えられた。そこで濃アルカリ処理による平滑化を行ったところ、ギガシール形成に改善が見られた。しかし従来のパッチクランプ法と比較するとギガシール達成率は低かった(10〜20%程度)。以上、今後更なる改良が必要ではあるが、本研究で開発した電気生理測定チェンバーは隔壁の小孔サイズを変えるだけで多様な膜系での測定に対応可能であることが示された。
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