Research Abstract |
1.介護保険制度改正に伴い医療処置や重度の介護を要する高齢者の在宅療養の増加がみこまれ,核家族化や介護者の高齢化等の介護力低下によって,在宅で療養者に身体拘束を実施する危険性は高まると考えられる。そこで,在宅で介護する家族を対象に,身体拘束の具体的禁止項目の認知度,弊害に関する認識,必要度が高いと考える拘束項目,知識を得る機会や場所,及び,拘束に関する相談先等の実態を把握して,家族介護者の身体拘束に関する認識の実態、特徴、傾向や関連性、影響要因を明らかにし,不必要な身体拘束を防止するための在宅特有な課題を検討することを,研究目的とした。研究実施に先立ち,研究計画書を浜松医科大学倫理審査委員会の審査に提出し,承認を受けた。 2.浜松市と磐田市の居宅介護支援事業所81ヵ所に訪問等によって協力依頼を行い,本研究について,口頭と書面で説明し,同意が得られた介護支援専門員に対して,家族への研究協力の依頼と研究協力依頼書、質問紙の配布,及び,記入後(封筒に入れたもの)の回収を依頼した。 3.現在,230人の家族介護者から回答を回収できており,入力作業中である。今後,さらに54人の介護支援専門員を通じて回収される予定で,合計300人余の回答が得られる見込みである。当初の予定より回収が遅れている理由の一つは,日常業務に追われている介護支援専門員の実態を反映していると思われる。他方,在宅で介護している家族を対象に身体拘束に関する調査を行うという性質上,調査協力が得られにくいことを危惧していたが,このように多数の回答が回収された状況は,在宅療養における身体拘束が家族介護者にとって現実の問題となっていることを裏付けていると思われる。 4.平成20年度は,今回,協力いただいた介護支援専門員を含めた各種サービス提供者(訪問看護,訪問介護,主治医)を対象とした調査に移行する予定である。
|