2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗菌分泌タンパクFDC-SPを応用した予防医療的ハイブリッド歯周治療法の開発
Project/Area Number |
19890097
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 さやか Nagoya University, 医学部附属病院, 医員 (40437033)
|
Keywords | 歯周病学 / 抗菌タンパク / 歯周組織 / 接合上皮 / 自然免疫 / FDC-SP |
Research Abstract |
我々は、歯周組織特異的遺伝子の探索において新規遺伝子FDC-SPを発見し、これまでに分子構造および発現局在について検討を重ねてきた。FDC-SPは歯周組織および耳下腺に特徴的に発現を示す遺伝子で、構造的には唾液成分のスタテリンと類似していることから口腔内において生体防御機能を担っている可能性が示唆されている。平成19年度の研究において、FDC-SPは胎生期においては歯胚および唾液腺には発現せず出生後に発現すること、口腔内においてその発現は局在性があることを明らかにした。そこで、FDC-SPの発現をさらに詳細に探索するため、in situ hybridization解析を用いてその局在について検討した。胎生18日および1、2、3、4、6週齢のICRマウスより麻酔下にて下顎を摘出、固定、脱灰の後、凍結切片を作製した。8週齢ICRマウスより摘出した唾液腺より調製したRNAを鋳型として、FDC-SP特異的プライマーでFDC-SP cDNAを合成後、DIG RNA Labeling Kit (Roche社)を用いて標的タンパク質(FDC-SP)センス、アンチセンスRNAプローブを作製した。各切片は、プロテアーゼ処理後、in situハイブリダイゼーションを行った。その結果、歯の萌出前の胎生18日、1、2週齢の歯胚においては、FDC-SPはほとんど発現が認められなかった。歯の萌出が認められる3週齢以降においてはいずれも接合上皮において非常に強い発現が認められた。以上の結果より、FDC-SPは歯の萌出に伴い接合上皮に高いレベルの発現を示すことが明らかになった。FDC-SP発現は微生物や他の有害因子より歯周組織を防御する最前線である接合上皮に局在が認められることが示されたことから、様々な病原性細菌や外的刺激に曝されている口腔内において生体防御機能を担っていることが推察される。
|