2008 Fiscal Year Annual Research Report
低配位リン化合物を活用する高効率的・高選択的な触媒反応の開発
Project/Area Number |
19890103
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
滝田 良 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (50452321)
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Keywords | ホスファアルケン / π-アクセプター / σ-ドナー / 直接的アリール化反応 / チオフェン |
Research Abstract |
昨年度に得られた知見を基に、ホスファアルケン部位とホスフィン部位との両方を有し、フェロセン骨格を母核とする2種類の光学活性二座配位子を用いて、錯体合成・触媒反応への応用を検討した。そのπ-アリルパラジウム錯体を合成したところ、π-アリル配位子の向きによるジアスレオマーがほぼ1:1の比率で混合物として得られることがわかった。その詳細な構造は二次元を含むNMR測定により明らかとした。特にエンド体とエキソ体の識別は、アリル基の中心炭素に結合した水素とホスファアルケン部位の保護基であるMes*基のt-Bu部分の水素とのNOESYスペクトルにおける相関の有無によって明らかとした。その触媒活性はアニリンを求核剤とするジエンのアミノ化反応を指標として検討した。以前に見出していたジホスフィニデンシクロブテン(DPCB)配位子を用いた系に比べ、反応性は低下していることが分かった。このことからDPCB配位子錯体の高活性はその広範に広がる共役系の為であることが明らかとなった。また反応性の低下は系中で、ホスファアルケン部位のリン原子に求核剤が付加し、パラジウムを含む三員環を形成するということが分かった。その分解はMS5Aの添加で抑制可能であることも見出し、反応性は大きく向上し、目的のアミノ化体が高収率で得られた。 また実用的な触媒系の構築を目指し、単座のシンプルな構造を有するホスファアルケン配位子を合成し、その触媒反応への応用を検討した。チオフェン類の直接的アリール化反応を検討したところ、反応条件の精査により中程度の収率で反応が進行することが分かった。またブロモチオフェンを基質として、少量のターチオフェン存在下、直接的重合反応が進行することを見出し、効率的なポリチオフェン合成法として確立すべく検討を行っている。
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Research Products
(9 results)