2007 Fiscal Year Annual Research Report
残留性有機フッ素化合物の体内動態と種差に関する研究
Project/Area Number |
19890107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 浩二 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (80452340)
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Keywords | 衛生 / 環境 / 分析科学 / 社会医学 / 薬学 |
Research Abstract |
環境汚染物質として注目されているペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)およびペルフルオロオクタン酸(PFOA)はヒト体内に蓄積しやすいことが知られている。PFOA・PFOSの食餌中濃度をヒト試料において測定することでヒト血清中半減期、また胆汁中PFOA・PFOSの再吸収による腸肝循環を検討し、他の動物との比較のための基礎を確立させる。食餌試料中PFOA・PFOSのLC-MS/MS分析を開発し、日本人におけるPFOA・PFOS曝露量の推定を行った。血清中濃度に有意な差が見られる国内2地域の陰膳試料の分析では食事中濃度に地域差はなく、大気、飲料水など他の曝露源が考えられた。排出経路について、これまで尿中にはほとんど排出されないことを明らかにしており、続いて胆汁からの排出の寄与を検討した。胆汁ドレナージが行われている患者の血清中PFOA・PFOSの施行前後の推移を検討し、平均8日間のドレナージにより、血清中濃度は平均10%-20%の減少が見られた。このことは胆汁の腸管再吸収が血清中半減期を長くしていることを示唆した。またPFOA・PFOSのほかの類縁フッ素化合物についても検討し、炭素鎖長が大きくなると排出が高くなり、類縁フッ素化合物間でも分布、動態が異なると考えられた。これらの結果から、曝露量から血清中負荷量計算が可能となり、種々の曝露源のそれぞれの寄与を推定可能となり、今後の曝露源対策を行う上での基礎となることが期待された。
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