2008 Fiscal Year Annual Research Report
BMP2発現アデノウイルスベクターおよび吸収性材料による骨再生に関する研究
Project/Area Number |
19890115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
海原 真治 Kyoto University, 医学研究科, 特定助教 (70452331)
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Keywords | BMP2発現アデノウイルスベクター / 遺伝子導入 / 骨再生 / ポリ乳酸 |
Research Abstract |
遺伝子組み換えヒト骨形性因子(rhBMP2)は、異所性に骨を誘導することが出来る蛋白性因子で、その作用は極めて強く臨床において極めて応用範囲が広い。しかし、十分な骨を誘導するには大量のrhBMP2が必要であり極めて高額な医療となる。また、臨床では低侵襲で確実な再建で、最終的には自己の生体に置換されることが理想とされている。そこで今回の研究では、以前からの遺伝子治療の手法で、安価で極めて強力な遺伝子導入効率を持つBMP-2発現アデノウイルスベクターの利用を考えた。しかし、それだけでは宿主の免疫応答反応により正常の免疫機能を持つ動物での骨誘導が出来ないため、少量の免疫抑制剤の併用し、極めて安価で簡単、迅速に十分な骨誘導を行うことを目的とした。また、連続性のない骨欠損部の再建をするため、骨誘導が完了するまでの期間、周囲の形態維持および目的の形態に骨誘導するために吸収性の担体(ポリ乳酸とアテロペプタイドI型コラーゲンの複合体)を併用することを検討した。H19年度はウイルスベクターの調整、担体の作製、調整を行った。コントロール実験で十分な骨誘導が可能であることを確認した。H20年度は術後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後のサンプルをX線学的、組織学的に検討し、再建骨の強度も測定した。術後一ヶ月後には担体の形状に新生骨を認めた。術後3か月には再生骨の成熟を認め、健常側に類似した形態に再生することが出来た。3点曲げ骨強度測定では、術後6ヶ月後には健常側とほぼ同等の骨強度が得られた。今回の結果より、BMP-2発現アデノウイルスベクターと吸収性の担体を応用した骨再建は、安価で確実に理想的な形態で骨再建が可能で、臨床へ応用が期待できることが示唆された。
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