2007 Fiscal Year Annual Research Report
C/EBPδ発現の腎障害進展に果たす役割に関する研究
Project/Area Number |
19890121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川田 典孝 Osaka University, 医学部附属病院, 助教 (80437326)
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Keywords | ステロイド / 線維化 / メサンギウム細胞 / C / EBPdelta |
Research Abstract |
慢性糸球体腎炎、特にIgA腎症に対するステロイド治療の有効性については、近年エビデンスが蓄積しつつある。一方、ステロイド治療の問題点として、病変の進展した症例の場合、ステロイドの投与が糸球体硬化や間質の線維化を進展させてしまうことが指摘されており、この点が治療の制約ともなっている。我々は、培養メサンギウム細胞に対するデキサメサゾン負荷により、C/EBPdeltaのmRNAおよび蛋白発現が増加すること、線維化関連遺伝子群のmRNA発現が増加すること、さらに蛋白合成阻害剤であるシクロヘキサミドが線維化関連遺伝子群のもRNAの発現を抑制するが、C/EBPdeltaのmRNAの発現には関与しないことをこれまでに明らかとした。このことから、ステロイドによるC/EBPdeltaの発現はステロイド受容体による直接作用である一方、線維化関連遺伝子群の発現誘導は何らかの転写関連因子の発現を介した間接的なものである可能性が示唆されている。現在、一部の線維化関連遺伝子に対する特異的な抗体の作成を終了し、今後は蛋白レベルでもステロイドの線維化促進効果を検出することを試みるとともに、いくつかの薬剤やC/EBPdeltaのsiRNAによる抗線維化効果について検討を行う。さらに培養線維芽細胞でも同様の検討を行う。 本研究が、将来的にステロイドの適応拡大や新たな線維化治療法の解明につながる事を期待して研究を進めている。
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