2008 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌腹膜播種に重要なインテグリンの特定とその発現機序の解析
Project/Area Number |
19890124
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤田 健二郎 Osaka University, 医学部附属病院, 助教 (00452392)
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Keywords | 卵巣癌 / 腹膜播種 / E-Cadherin / Integrin α5 / Fibronectin |
Research Abstract |
我々はまず、卵巣癌をはじめとする上皮由来の発癌が、上皮細胞間の接着因子であるE-Cadherinの発現消失によって始まることに着目した。E-Cadherinが強発現している卵巣癌細胞株RMUG-SにE-Cadherin siRNAを一過性にTransfectionし、数種の接着因子(lntegrin,CD44)の発現を検討したところ、細胞外マトリックスの一つであるFibronectinの受容体であるIntegrinα5の発現が特異的に増加していることが判明した。 次に、臨床応用の可能性を考え、米国のPDL Biophama社が臨床試験中のヒトキメラ化抗Integrinα5抗体であるVolociximabを腹膜播種モデルマウスに腹腔内投与したところ、卵巣癌播種病変および腹水の減少を認め、担癌マウスの生存が有意に延長した。抗癌剤ドキシルとの併用試験を行い、毒性の悪化は認めることなく、相加的に播種病変数を減少させた。以上より、Integrinα5の分子標的治療は卵巣癌腹膜播種の抑制に有用であることが示唆された。これらの成果は現在、投稿準備中である。 続いて、妊娠初期においても絨毛細胞が子宮筋層に浸潤し、着床を形成する際にE-Cadherinの発現消失から始まることに着目した。低酸素刺激により、絨毛細胞のE-Cadherinの発現消失に伴い、Integrinα5の発現が増強し、それに伴い筋層内に浸潤していくことを証明した。実際の胎盤臨床検体を用いて、子宮筋層に深く浸潤する絨毛細胞におけるE-cadherinの発現が低下しているのに対し、Integrinα5の発現が増強しその下流シグナルであるFAKがチロシンリン酸化していることを解明した。これらの成果は現在論文査読中である(Arimoto-Ishida, et al. Endocrinology, in revision)
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Research Products
(3 results)