2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨再生に向けた脂肪組織由来幹細胞の効率的な骨芽細胞分化誘導法の開発
Project/Area Number |
19890127
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久田 邦博 Osaka University, 歯学部附属病院, 医員 (50452454)
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Keywords | レチノイン酸 / 骨芽細胞分化 / BMP / 脂肪組織由来幹細胞 |
Research Abstract |
本研究においては、脂肪組織由来幹細胞を効率的に骨芽細胞に分化誘導をするシグナルとして、ビタミンAの代謝産物であるレチノイン酸(RA)を用いての研究を計画している。そこで脂肪組織由来幹細胞での検討に先がけて、RAの分化誘導メカニズム解明を目的に、マウス未分化問葉系細胞株C3H10T1/2細胞を用いて、RAの分子作用メカニズムの検討を行った。RAシグナルはBMPシグナルと協調して骨芽細胞分化を誘導することが19年度の検討にてあきらかとなったことから、RAシグナルはBMPシグナルのターゲットとなる骨芽細胞分化マーカーを同定する目的でreal time PCR法を用い、メッセージレベルでの検討を行った。その結果、RAシグナル、BMPシグナルは共にアルカリフォスファターゼ(ALP)、オステリックス(OSX)の発現を促進させた。さらに同時に作用させることにより、その作用が協調的に増強されることが明らかとなった。しかし、タイプIコラーゲン、オステオカルシン、BSPの転写活性には影響を与えないことが明らかとなったシグナルの作用メカニズムの解明のためにSmad結合配列を組み込んだルシフェラーゼレポーターコンストラクトを用いて、Smadの転写活性に対するRAの効果を検討した。その結果、。RAは単独ではSmadの転写活性に影響は及ぼさなかったが、恒常的活性型BMPIaレセプターにより活性化されたSmadの転写活性をさらに促進することが示された。以上の結果より、RAはSmadの転写活性を促進することにより、骨芽細胞分化を増強することが示唆された。これらのことより、RAシグナルはBMPシグナルの下流に存在するシグナル伝達物質Smadと協調することにより、ALP、OSXの転写活性を促進させ、骨芽細胞分化を誘導している可能性が示唆された。これらの結果は、研究の核となる、脂肪組織由来幹細胞の効率的な骨芽細胞への分化誘導法を確立する重要な発見であると考えられる。
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