2008 Fiscal Year Annual Research Report
健康高齢者と長期臥床高齢者の温度伝導率に基づく褥瘡発生予測ツールの開発
Project/Area Number |
19890128
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊部 亜希 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (80452431)
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Keywords | 褥瘡発生予測 / 健康高齢者 / 長期臥床高齢者 / 温度伝導率 |
Research Abstract |
<目的> 健康高齢者と長期臥床高齢者に対し、皮膚組織の温度伝導の比較を行うことにより、温度伝導率を褥瘡発生の予測ツールとして使用できるかどうかの基礎的検証を行うことである。H20年度では、長期臥床高齢者を対象とし、臥床時の仙骨部における温度伝導率を求め、分布状況および関係因子の検討を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 <本年度の成果の> 1)対象者(n=59):男性23名、女性36名であり、Aランク2名、Bランク9名、Cランク21名であった。年齢の平均(SD)は80.3(8.7)歳であり、入院期間の平均(SD)が721.9(620.6)日であった。収縮期血圧の平均(SD)は115.3(16.4)mmHg、拡張期血圧の平均(SD)は67.1(11.5)mmHg、体温の平均(SD)は36.5(0.5)℃、脈拍の平均(SD)は72.2(9.6)回/分であった。 2)栄養状態(n=57):TPの平均(SD)は6.5(0.5)であり、Albの平均(SD)は3.2(0.3)であった。 3)温度伝導率(n=51):ベッド上臥床時の仙骨部における温度伝導率の平均(SD)は1.540E-07(0.276E-07)m2/sであり、拡張期血圧と負の弱い相関がみられた(r=-0.32,p<0.05)。温度伝導率と、TPおよびAlbとに有意な関係は見られなかった。 〈意義〉 長期臥床高齢者における温度伝導率は、健康高齢者よりも明らかに低い温度伝導率であり、臥床による圧迫による血流への影響を評価できていることが考えられた。本研究成果から、温度伝導率を褥瘡発生予防のために、皮膚組織の血流状態を評価するツールとして使用できる可能性が示唆された。
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