2007 Fiscal Year Annual Research Report
矯正力に対する硬組織と神経系の反応の関連性について
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19890132
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藪内 利憲 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (00452582)
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Keywords | 神経ペプチド / 痛み / 共焦点顕微鏡 / CGRP / Galanin / 組織学的形態計測 |
Research Abstract |
本研究は、歯の移動時における様々な神経ペプチドの分布ならびに歯周組織の形成と吸収を3次元的に明らかにし、さらに神経ペプチドの役割を明らかにすることで、神経系と硬組織との関連性を明らかにすることを目標とする。そのために、様々な神経ペプチドの分泌および産生を3次元的に解析し、硬組織の形成や吸収を示す遺伝子、タンパク、酵素などの様々なマーカーについても同じ組織において、3次元的に解析することにより、これらの局在や共存関係を明らかにする。さらに得られた所見から、神経ペプチドが骨の吸収や形成に果たす役割をin vitroの実験系において検討する。平成19年度は、研究実施計画に従い歯の移動時における神経ペプチドの経時的変化を中枢から末梢まで網羅的に定量分析した。その結果、神経ペプチド陽性神経線維の分布は経時的に変化することが明らかとなった。さらに神経ペプチド陽性神経線維は経時的に増減することがわかった。これらの結果より、歯の移動時に生じる痛みの原因となる反応が、"空間的にどの部位で生じているのか"、さらに"時間的にどの様に変遷するのか"を明らかにできると考えられる。さらに今後の研究により、歯周組織における改造現象の作用機序や、改造現象時の過度な炎症反応がもたらすと考えられている歯根吸収の作用機序が明らかになると考える。矯正臨床に於いて"矯正治療中の痛みと歯根吸収"は矯正治療による副作用のうち最も注目を集めているものである。本研究により痛みや歯周組織の改造現象をコントロールする研究が大きく進展することが予想され、矯正歯科臨床において治療期間の短縮や痛みのコントロール、さらには歯根吸収の抑制が可能になると考える。
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