2007 Fiscal Year Annual Research Report
唾液分泌に対する前脳及び脳幹からの抑制性制御機構に関する研究
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19890133
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 昭仁 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (10452583)
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Keywords | 上唾液核 / GABA作動性ニューロン / 前脳 / 脳幹 / Fluorogold / GAD / 免疫染色 / ラット |
Research Abstract |
唾液分泌量の低下が、ドライマウスやう蝕など、多くの歯科疾患の原因となることは良く知られている。一般的に唾液分泌は脳幹(下位中枢)を介した反射により誘発されが、最近の我々の研究から、前脳(上位中枢)からも調節を受けていることが示唆されている。しかし、唾液分泌の制御機構は基礎研究および臨床研究においても、未だ具体的に明らかにされていない。そこで本研究課題では、免疫組織学的および電気生理学的手法を用い、唾液分泌に対する上位および下位中枢からの抑制性入力の起源やその神経回路を明らかにし,そこで得られた結果を包括的に検討し、唾液分泌に対する上位および下位中枢からの抑制性制御機構を明らかにすることを本研究課題の目的とした。そこで本年度は、免疫組織学的手法を用いて、上唾液核への抑制性入力の起源を解析することとした。 上唾液核ニューロンにシナプス結合するニューロンを逆行性に標識する為に、上唾液核に蛍光色素(2%Fluorogold)を注入した。10週齢のWistar系ラットを使用した。ラットを脳定位固定装置に固定し、ガラス微小電極を先端に固定したマイクロシリンジを用いて、左側の上唾液核へ蛍光色素を極微量注入した。注入2日後、灌流固定を行い、厚さ約8μmの連続凍結切片を作製し、GABA合成酵素であるglutamic acid decarboxylase(GAD)をマウス抗ラットGAD抗体を用い免疫染色することにより、GABA作動性の細胞体の分布を観察した。 Fluorogold標識されたニューロンは、上位中枢では、島皮質、分界状床核、視床下部外側野、扁桃体中心核に分布していた。下位中枢では、三叉神経感覚核、孤束核、網様体で観察された。GAD陽性ニューロンは、これら全ての神経核で観察された。以上の結果から、上唾液核ニューロンは、上位および下位中枢のニューロンから抑制性の調節を受けていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)