2008 Fiscal Year Annual Research Report
唾液分泌に対する前脳および脳幹からの抑制性制御機構に関する研究
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19890133
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 昭仁 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10452583)
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Keywords | 上唾液核 / 抑制性入力 / 前脳 / 脳幹 / パッチクランプ / 除脳 / ラット |
Research Abstract |
唾液分泌量の低下が、ドライマウスやう蝕など、多くの歯科疾患の原因となることは良く知られている。一般的に唾液分泌は脳幹(下位中枢)をした反射により誘発されるが、我々の研究から、前脳(上位中枢)からも調節を受けていることが示唆された。しかし、その制御機構は基礎および臨床研究においても、未だ具体的に明らかにされていない。本研究課題では、免疫組織学および電気生理学的手法を用い、唾液分泌に対する上位および下位中枢からの抑制性入力の起源や神経回路を明らかにし、唾液分泌に対する上位および下位中枢からの抑制性制御機構を明らかにすることを目的とした。本年度は、上唾液核への抑制性入力およびその起源を、電気生理学的手法を用いて解析・検討した。9-14日齢のWistar系ラットを使用し、鼓索-舌神経に蛍光色素を注入し、顎下・舌下腺を支配している上唾液核を逆行性に蛍光標識した。一部ラットでは、色素注入と同時に上位中枢から上唾液核への下行性入力を遮断するため、注入側と同側脳幹部の切断除脳を行った。除脳2-3日後、厚さ約200μmの矢状および冠状断新鮮脳スライス標本を作製し、ホールセルパッチクランプ法(電圧固定下)により(1)GABAまたはグリシン灌流、(2)ガラス微小電極での電気刺激を行い、記録した。正常動物でも、同様の記録を行い比較・検討した。(1)から上位中枢から上唾液核への抑制性入力が存在することが示唆された。(2)から除脳動物の17%(n=7/41)では上位中枢からのみ、抑制性入力を受けていることが、83%(n=34/41)では上位および下位中枢から抑制性入力を受けていることが示唆された。以上から全ての上唾液核細胞は上位中枢から抑制性入力を受けていることが明らかとなり、唾液分泌は興奮性入力のみならず上位中枢からの下行性抑制性入力によっても調節されていることが示唆された。
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