2007 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛制御におけるcyclic ADP-riboseの役割と新規治療薬の開発
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19890137
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡 広子 Hiroshima University, 大学院・医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60452588)
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Keywords | 疼痛 / 炎症 / cyclic ADP-ribose |
Research Abstract |
申請者らは、マウスアジュバント炎症モデルにおいてcADPR阻害薬およびNT阻害薬が強力な鎮痛作用を有し、炎症反応と考えられる浮腫をも強力に抑制することを見出した。本年度はcADPR-NTs系の炎症制御と炎症性痛覚伝達制御における役割の解明と治療法の開発を目的として以下のとおり実施した。 1.cADPRにおよびNT阻害薬の作用部位について明らかにする目的で、NT阻害薬をアジュバント炎症モデルマウスに局所皮下、全身、脊髄腔内投与したところ、局所皮下および脊髄腔内投与で有意な組織学的炎症反応、とくに炎症細胞浸潤および浮腫の抑制がみられた。このことから、NTs阻害薬が炎症の局所反応に直接作用するとともに、脊髄からの神経系を介して間接的に炎症および炎症性疼痛を制御する可能性が示唆された。 2.ミクログリア・アストロサイト系培養細胞の炎症性刺激による活性化を、細胞内Ca^<2+>動態を指標に確認した。 3.骨組織の破壊を担う破骨細胞の形成におけるcADPR-NTs系の関与を検討するために、NTs阻害薬を投与したアジュバント炎症モデルの骨破壊を検討した。また、培養破骨細胞誘導系にNT阻害薬を用いたところ、破骨細胞形成が有意に抑制された。 このようなデータの結果を踏まえ、最終年度となる来年度は、cADPR-NTs系の炎症性疼痛制御と好中球およびミクログリア・アストロサイト等の役割および組織破壊におけるcADPR-NTs系の関与についてさらに検討を進めたい。
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