2008 Fiscal Year Annual Research Report
食物の物性により異なる咀嚼性刺激が顎骨および咀嚼筋の成長発育に及ぼす影響
Project/Area Number |
19890138
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川合 暢彦 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40437588)
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Keywords | 咀嚼 / 咀嚼筋 / 筋電図 / 下顎骨 / リモデリング |
Research Abstract |
本研究では性状の異なる飼料でラットを飼育し咀嚼性刺激が顎骨および咀嚼筋の成長発育に与える影響を明らかにすることを目的としており、本年度はラット咀嚼筋の終日筋活動および筋線維への影響について検討を行った。 3週齢のWistar系雄性ラット20匹を使用し、無作為に硬食群と軟食群の2群に等分した。12週齢まで飼育した後、全身麻酔下で筋電図記録用送信器をラット背部に埋入し、電極を右側咬筋浅層、顎二腹筋前腹、側頭筋に挿入し筋活動を5日間連続で測定を行った。測定終了後、ラットを屠殺し送信器を取り出すとともに、咀嚼筋の免疫組織化学的評価を行うため左側の咬筋浅層、顎二腹筋前腹、側頭筋を摘出した。各筋について凍結切片を作製し、免疫組織染色を施して、各MyHCアイソフォーム(MyHC-I, IIA, IIX, IIB)を有する筋線維の比率を求め両群の比較を行なった。顎二腹筋は低活動レベルにおいて軟食群の筋活動量が有意に高く、高活動レベルでは両群間に有意差がみられなかった。一方、咬筋では低活動レベルでは差が無く、高活動レベルにおいて軟食群の筋活動量が有意に低かった。また、側頭筋ではすべての活動レベルで筋活動量に差が見られなかった。筋線維の比率については、咬筋において、硬食群と比較して軟食群はMyHC-IIAを有する筋線維の構成比率が有意に小さい値を示し、MyHC-IIBを有する筋線維は有意に大きい値を示した。顎二腹筋および側頭筋の筋線維タイプには両群間に有意な差はみられなかった。 以上の結果から、高い活動レベルでの筋活動量が減少することで筋線維が易疲労性へと移行し筋機能の顕著な低下が示され、これらの機能変化が顎骨の代謝に影響を及ぼすことが示唆された。
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Research Products
(3 results)