2008 Fiscal Year Annual Research Report
局所リン酸代謝調節に基づく新規の骨・歯科疾患治療の基礎的研究
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19890140
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
南崎 朋子 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30452593)
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Keywords | 細胞・組織 / 歯学 / シグナル伝達 / 骨代謝 / リン代謝 |
Research Abstract |
平成20年度は、当初予定していたPCRアレイ(細胞外Pi負荷下、未分化骨芽細胞と成熟骨芽細胞固有の細胞応答を遺伝子発現レベルで網羅的に検索するため)を変更し、より石灰化への影響が確認しやすい成熟細胞にターゲットを特化し、石灰化およびその抑制メカニズムと細胞外Piレベルとの関係について検討を行った。 まず、19年度までに特定したPi代謝関連因子のうち、腎近位尿細管におけるリンの再吸収抑制作用が報告されている低Pi血症因子Fibroblast Growth Factor(FGF)23の骨における石灰化抑制作用(一部を20年に本研究室より論文報告)およびFGF23の発現調節(一部を19年に本研究室より論文報告)に関与していると思われる因子をいくつか限定し、ラット胎仔頭蓋冠由来培養(RC)細胞等の骨芽細胞を用いて主に以下の項目を明らかにした。 1活性型ビタミンD3(以下D3)はFGF23 mRNAの発現を直接促進する 2副甲状腺ホルモン(以下PTH)はD3によるFGF23 mRNA発現促進を間接的に抑制する 31、2のFGF23発現調節と連動して、培養骨芽細胞の石灰化は抑制あるいは促進する 4細胞外Piレベルが高い場合、FGF23のシグナル伝達は抑制される 5PTHはFGF23の発現のみならずシグナル伝達も抑制する これらのことから、高Pi血下、低Pi血症因子FGF23が骨において本来発揮すべき生理的石灰化抑制機能が低下することで生体内の血中Piレベルを減少させていることが考えられ、血中Piレベルの恒常性維持に係る骨局所でのメカニズムが今後一層明らかになる可能性が示唆された。
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