2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890142
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小野 順子 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 助教 (20432742)
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Keywords | 高齢者 / 歩行動作 / 言語教示 / 介入 |
Research Abstract |
平成19年度に地域で自立して生活する男性高齢者31名を対象に歩行動作測定を行った。その後,20年度に対象者は6ヶ月間(1)日常生活の中で「踵から着地し足先で地面をけるように意識して歩く」(以下、意識した歩行)(2)「歩行記録をつける」の2つを継続した。意識した歩行の継続を支援するために月に1度保健師による電話フォローが行われ、6ヶ月後に介入後の歩行動作測定を行い介入前後で歩行動作を比較した。 対象者の平均年齢は70.8歳(SD±4.62)、平均運動日数は5.2回/週(SD±2.53)、平均握力は34.0kg(SD±4.95)であり、対象者は運動習慣があり比較的体力のある高齢者であった。通常歩行時の歩行速度は1.17m/sec(SD±0.21)、歩幅は63.2cm(SD±7.87)、歩行時着地する際のつま先高は3.0cm(SD±0.99)であった。 対象者は、全員が6カ月の間、意識した歩行と歩行記録を継続することができた。6ヶ月後の歩行動作測定時、対象者の平均運動日数は5.5回/週(SD±2.39)、平均握力は35.2kg(SD±5.30)であり、握力は介入前と比較して有意に高くなっていた(<.05)。また歩行動作は、通常歩行時の歩行速度1.2m/sec(SD±0.21)、歩幅64.8cm(SD±7.58)、つま先高8.2cm(SD±1.28)であった。歩行動作に関して歩行時かかとが着地する際のつま先の高さは介入前と比較して有意に高くなっていた(p<0.01)。 「かかとから着地して、足先で地面をけるように意識して歩いて下さい」という言語教示は高齢者にとって理解、再現可能な内容であった。対象者はもともと運動習慣があり、その運動習慣を変えることなく、日常の通常歩行中に意識した歩行を実践していた。歩行動作に関して歩行速度や歩幅には変化はなかったが、つま先高は有意に改善していた。このことは、高齢者の転倒の一因と考えられている“すり足"改善の一助になるものと考えられる。
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