2008 Fiscal Year Annual Research Report
膵管上皮を起源とする膵ベータ細胞幹細胞の同定とその再生機構の解明
Project/Area Number |
19890150
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲田 明理 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 准教授 (50448429)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病モデル / ベータ細胞 / 再生 / インスリン産生 |
Research Abstract |
これまで、膵島が膵管上皮細胞に隣接して出現・存在すること、急激にβ細胞数が増加する生後の成長期と成体の組織再生時の両時期で膵管上皮細胞にインスリン陽性細胞が出現すること、ヒトの膵管上皮細胞を長期間培養するとインスリン陽性細胞が得られることなどから、膵管上皮に前駆細胞が存在する可能性が示唆されてきた。但し、これらは別の細胞経由か、あるいは性質の違う細胞から分化した可能性を含んでおり、直接、膵管上皮からβ細胞に分化するという証明には至っていなかった。 そこで私達は、分子生物学的手法(Cre-loxPシステム)を用いて膵管上皮細胞そのものをDNAレベルでラベルし(系統追跡実験)、直接的な証明を試みた。結果、膵管上皮にβ細胞の前駆細胞が存在し、膵管上皮からβ細胞が供給されることを証明することに成功した。現時点で機序は不明であるが、少なくとも膵管上皮にはβ細胞の源である前駆(幹)細胞が存在するということが明らかとなった。 β細胞の源となる細胞(前駆細胞や幹細胞)の同定に成功すれば、長期に渡りβ細胞を供給・維持することが可能となり、糖尿病治療に対する再生医療の実現に大きく貢献できる。今後の更なる研究の発展が期待される。
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