2008 Fiscal Year Annual Research Report
新たなアプローチによるアミロイド沈着機構の解明と原因蛋白質の検出法に関する研究
Project/Area Number |
19890164
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
植田 光晴 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (60452885)
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Keywords | アミロイドーシス / トランスサイレチン / 血清アミロイドA / マイクロアレイ / SELDI-TOFMS |
Research Abstract |
1.アミロイド形成に関連した因子の網羅的解析 マウスに、AAアミロイドーシスを惹起させ、タクロリムスでアミロイド形成を抑制した後に肝臓を採取しRNAを抽出した。タクロリムスによるアミロイド抑制効果に関与すると予測される遺伝子発現を解析するために、オリゴDNAチップを用いて網羅的に発現変動を解析したところ、Saa3遣伝子の発幌が抑制されていることが判明した。プライマーを設計しリアルタイムPCR法でmRNAレベルを確認したところ、マイクロアレイの結果と同様にSaa3のmRNAレベルが減少していることが確認できた。抗マウスSaa3抗体を用いて免疫染色を行ったところ、アミロイド沈着部位ど一致してSaa3の陽性像が得られた。しかし、ウエスタンブロットの結果から、アミロイド線維抽出物にはSaa3が含まれないと考えられた。本アミロイドーシスにSaa3がどの程度関与するのか、更なる検討が必要である。 2.SELDI-TOF MSを用いたアミロイド前駆蛋白質のハイスノレープソトな質量分析 SELDI-TOFMSプロティンチップを用い、FAPの病原蛋白質である異型TTRを迅速に検出できることを明らかにした。アミノ酸変異に由来する理論的な質量差とSELDI-TOF MS実灘値の差は良好に相関した。本システムは迅速なFAP診断に有効であると考えられる。しかし、一部のTTR変異型のFAPで異型TTRが血中より検出しにくいことも判明した。検出困難な理由として、(1)野生型TTRと質量差がわずか(15Da未満)である場合と、(2)異型TTRの産生が低下している場合があった。これらの変異型TTRを持つFAPは稀であるものの、本システムを用いた診断時には注意が必要である。FAPの大部分をしめる変異型であるV30Mは、本システムで良好に検出できた。
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