2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンEP1レセプターをターゲットにした脳梗塞治療の研究
Project/Area Number |
19890166
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河野 隆幸 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (50448536)
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 / 酵素 / 脳虚血 / プロスタノイド |
Research Abstract |
脳虚血の病態は、脳梗塞のみならず脳外傷や脳腫瘍周囲の浮腫等の理解に対して非常に重要である。また、脳虚血に伴う神経細胞死の病態理解は、脳梗塞治療のみならずその他の中枢神経疾患の病態の理解に対して非常に重要である。 私たちは、脳虚血に伴う神経綿胞死の原因としてcyclooxygenase-2(COX-2)の発現、Prostagulandin E:32(PGIE2)の生成、EP1受容体の活性化が重要であることを報告している。しかしながら、それらの成果は動物実験レベルのものであり、実際の臨床の場、脳梗塞患者の虚血性神経継胞死の病態の中でどれだけそのカスケードが関与しているかは不明である。 昨年度に研究において、人間の大脳皮質に存在する神経細胞にCOX-2,EP1受容体が存在することが示された。本年度はさらに脳動脈瘤においては、炎症の関与が示唆されているが、COX-2,EP1受容体のみならず、EP2,EP3,EP4受容体が存在することが免疫染色にて示された。これは、脳動脈瘤の発生、増大、破裂にこのカスケードが関与している可能性を示唆するものである。今後は、どの受容体が関与しているのか、またその受容体をmodulateすることにより動脈瘤の病態を制御し、脳動脈瘤破裂で引き起こされるクモ膜下出血の予防につなげることを検討する予定である。 また、脳梗塞の原因となる頸動脈のプラークを免疫染色で検討したところ、COX-2,EP1-EP4各受容休の存在が証明された。プラークの増大もしくはruptureには炎症の関与が考えられており、その中でもCOX-2-EP受容体のカスケードの関与が示唆された。さらなる検討を加え、EP受容体の調節により、プラークのコントロールが可能かを検討する予定である。プラークをコントロールすることにより、脳梗塞の発症が予防できるものと考えている。
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