2008 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺傷害治療における血管内皮細胞増殖因子分泌型レセプター遺伝子導入の効果
Project/Area Number |
19890177
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
馬場 靖子 Yokohama City University, 医学部, 助教 (80453041)
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Keywords | 急性肺傷害 / 遺伝子治療 / 血管内皮細胞増殖因子 |
Research Abstract |
急性肺傷害は肺血管透過性亢進を初期の病態とし、炎症、肺胞腔内、肺間質への浸出液の貯留など急激に進展する予後不良の病態であるが、有効な治療法がいまだ確率されておらず、死亡率も高い。本研究では肺血管の透過性をコントロールする、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に着目した。VEGFのレセプター(VEGFR)の細胞外ドメインのみを肺内に高濃度で投与することにより、VEGFの効果を抑制し、肺傷害時の血管透過性亢進を抑制する効果について検討する研究を計画した。VEGFR細胞外ドメインの投与手段として、VEGFRの遺伝子をサブクローニングし、細胞外ドメインのみを発現する発現プラスミドを作製した。エレクトロポレーションによる遺伝子導入を試みた。VEGFRのサブタイプのうち、VEGFR-1と3は肺内で発現確認したが、われわれが肺傷害の治療にもつとも有力と考えていたVEGFR-2が肺内で確認できなかった。このためVEGFR-2の細胞外ドメインを発現するアデノウイルスベクターを作製した。肺傷害の動物モデルとしてマウスの腹膜炎後の二次的肺傷害モデル(CLP;Cecal ligation and punctureモデル)を作製し、組織学的検討、肺乾湿重量比の測定、ラジオアイソトープ標識アルブミンを用いた血管透過性の評価等の実験により、上記アデノウイルスベクターの投与効果を検討するための予備実験を行った。CLPのみでは血管透過性亢進の程度が緩徐であり、さらに肺傷害を強くするための操作が必要と考えられた。実験代表者らは平成21年度より3力年の計画で本研究を発展させた内容の実験を行う予定である。基盤研究(C)課題番号21592311。
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