2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890182
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
井川 貴詞 University of Shizuoka, 薬学部, 助教 (20453061)
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Keywords | 芳香族化合物 / ホウ素化合物 / Diels-Alder反応 / 位置選択性 / 鈴木・宮浦反応 / ヘテロ環合成 / フラン / ベンザイン |
Research Abstract |
本研究では、ホウ素官能基によりベンザインの反応位置選択性を制御し、幅広い分野において有用な多置換芳香族ボロン酸誘導体の新規合成法を開発することを目的としている。 本年度は、主にホウ素置換ベンザインとアルキルフランとDiels-Alder反応における位置選択性について詳細に検討した。一般にアルキル基のみが置換したフラン類は両端のHOMO軌道係数の差が小さいため、Diels-Alder反応を位置選択性に行うことは極めて困難である。今回、我々はホウ素置換ベンザインと2-アルキルフランとのDiels-Alder反応が高アンチ選択的(ホウ素官能基とフラン由来のアルキル基が付加体であるナフタレン環の1位と5位に配置)に進行することを見出した。これらはいずれも以前、我々が行ったケイ素置換ベンザインと2-アルキルフランのDiels-Alder反応より高い位置選択性及び一般性を示した。また、本選択性はアルキル基の嵩高さによって変化せず、2-メチルフランを用いた場合においても高い選択性を示した。さらに興味深いことに3-アルキルフランを使用した場合にはシン選択的(ホウ素官能基とフラン由来のアルキル基がナフタレン環の1位と7位に配置)に環化付加反応が進行した。以上の結果より、ホウ素置換ベンザインと置換フラン類とのDiels-Alder反応により多様な置換形式の芳香族ボロン酸誘導体を合成できることが明らかとなった。また、ホウ酸エステルの種類を変更した場合にも同等の選択性を示した。しかし、現在までのところホウ素上の置換基効果について詳細に検討するには至っていない。 ホウ素置換ベンザインの求核付加反応については、明確な結果を得ることができなかったので、次年度も継続して検討を行う。
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