2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890189
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
権 力 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 助教 (60453130)
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Keywords | ストレス反応 / 大脳辺縁系 / 脳幹 / 神経病理 / 神経化学 / ドーパミン / セロトニン / ノルアドレナリン |
Research Abstract |
種々の外因性侵害刺激による苦痛、恐怖、怒り、不安、怯えなどの急性ストレス(痛み)反応が中枢神経系に及ぼす影響を解明するため、種々の死因における中枢神経系のストレス反応を免疫組織学的および生化学的指標を用いて多角的に分析した。 これまでの研究の結果、中脳黒質神経細胞核内ユビキチン陽性封入体の出現率(変性指標)と中脳黒質神経細胞核のssDNA陽性率(アポトーシス指標)が死因と深く関係していることが明らかになった。今回種々の外因死386例(焼死、機械的窒息、溺死、頭部損傷、胸、腹部損傷、覚せい剤中毒、急性心臓死など)について、死後の血液、心膜液および脳脊髄液における神経伝達物質ドーパミン(DA)、セロトニン(5-HT)、アドレナリン(Adr)およびノルアドレナリン(Nad)を測定し、生体の急性ストレス反応を評価した。その結果、上記指標は年齢、死後経過時間(<48時間)と弱い相関がみられたが、死因や受傷後経過時間とより強い相関性を示した。体内AdrとNad値は右心血で最も高く、以下、左心血、心膜液、脳脊髄液の順であった。脳脊髄液中のAdr、Nad、DAおよび5-HT値は、頭部外傷、溺死、凍死と火災死では上昇が認められず、鈍器損傷の非頭部外傷、窒息および中毒で顕著な上昇が認められた。さらに、DAは絞頸で縊死より顕著な高値を示した。5-HTは睡眠薬中毒で高値となり、覚せい剤中毒ではそれよりも有意に低かった。また、鋭器損傷、熱中症、急性心臓死や肺感染症ではDAの上昇はみられず、5-HTの顕著な上昇が認められた。一方、脳脊髄液のAdr、Nad、DA値は、血液および心膜液内の値と有意な相関性を示した。しかしながら、血液・心膜液中の上記指標の値は、脳脊髄液とは異なっており、それらと神経組織形態学指標との関連について検討する必要があると考えられた。以上のように、上記神経伝達物質の血液、心膜液および脳脊髄液における分析は体内外因性ストレス(痛み)反応や薬物の影響を反映しているものと考えられた.
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Research Products
(8 results)