2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対するES細胞移植治療-骨髄間質細胞を用いた腫瘍抑制効果の検討-
Project/Area Number |
19890192
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
松田 良介 Nara Medical University, 附属病院, 医員 (60453164)
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Keywords | ES cell / Bone marrow stromal cells / co-transplantation / NGF / tumor formation |
Research Abstract |
【平成20年度の研究目的】平成19年度は、invitro実験において、骨髄間質細胞が未分化ES細胞の神経分化促進作用を有することが証明されたため、平成20年度は脊髄損傷モデルでの腫瘍抑制効果をin vivo実験で検討した。 【研究方法】マウス脊髄圧挫傷モデルを3群にわけ、PBSを移植するPBS-Group、ES移植細胞のみを移植するES-Group、ES移植細胞およびBMSCを同時移植するES/BMSC-Groupとした。移植後の運動機能評価、移植部位での免疫組織染色を行った。 【研究成果】(1)運動機能評価ではES-Groupでは移植後2週以降で運動機能は低下し、ES/BMSC-Groupでは徐々に運動機能は改善した。(2)組織学的検討ではES-Groupでは移植部位に腫瘍形成を認めたが、ES/BMSC-Groupでは腫瘍形成はみられず、免疫組織染色にてES細胞はNestin, MAP2陽性細胞への分化を認めた。BrdU標識したBMSCは移植部位に生着し移植6週後もNGFを産生していた。 【本研究の意義・重要性】BMSCの同時移植はES移植細胞に残存する未分化ES細胞の分化誘導を促進し、未分化ES細胞由来の腫瘍形成を抑制すると考えられた。BMSCの神経分化作用はNGFなどの神経栄養因子を介するものであった。ES細胞移植の臨床応用にむけて、神経分化誘導作用のあるBMSC同時移植は、腫瘍形成に伴う重篤な合併症を回避する有望な治療法の一つと考えられた。なお、本研究成果については、cell transplantation誌に投稿後、採用となり現在in pressとなっている。
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Research Products
(2 results)