2007 Fiscal Year Annual Research Report
合併症妊娠における着床異常の解明:アディポネクチンおよび関連サイトカインの関与
Project/Area Number |
19890193
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
成瀬 勝彦 Nara Medical University, 医学部, 助教 (70453165)
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Keywords | 妊娠 / 妊娠合併症 / アディポネクチン / メタボリック・シンドロム / 着床 / IL-1β / MMP-2 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
生体より初期絨毛細胞を得て行う実験に先立ち、満期の胎盤からパーコール重層法とトリプシン分解を併用して絨毛細胞を分離し、プレート上で培養する方法を確立した。この培養系において、アディポネクチンを添加した培養、さらに専用インキュベータを用いた低酸素刺激下での培養を行い、サイトカインとプロテアーゼの産生について多元的アッセイ法を用いて測定を行った。この結果、培養上清中に加えられたアディポネクチンは細胞の傷害性を低下させ、活性を亢進させる効果があることが分かり、妊娠において母児応答の局所でアディポネクチンが保護的に働くことが初めて証明された。更に低酸素培養において、5%の酸素濃度ではインターロイキン(IL)-1βの産生が亢進することが分かり、細胞の免疫活性はむしろ亢進してより至適な条件となることが証明された。これに対し、0.1%の強い低酸素濃度条件では多くのサイトカインが抑制されることが分かったが、特に生体内でも胎盤に多く発現されるマトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)-2とそのインヒビターが抑制されることが証明され、サイトカイン・プロテアーゼ系の産生について胎盤における低酸素の影響が非常に大きいことが証明された。続いて、初期絨毛細胞を模した系として絨毛癌細胞系を用いて、細胞外マトリックス塗布フィルターへの浸潤を評価することで細胞の浸潤能を数値化する実験方法を確立し、実験を行った。いくつかの細胞系を用いて実験を進めているが、絨毛癌由来細胞系JARにおいて、低濃度アディポネクチンの添加が細胞の浸潤能を高めることが示唆され、更に検討を進めている。
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