2007 Fiscal Year Annual Research Report
MIFタンパク質をパイロットケースとした新規ペプチド阻害剤設計法の開発
Project/Area Number |
19890196
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
居弥口 大介 Health Sciences University of Hokkaido, 薬学部, 助教 (00433425)
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Keywords | マクロファージ遊走阻止因子 / MIF / ペプチド阻害剤 / X線結晶構造解析 / タンパク質結晶 |
Research Abstract |
本研究課題は、マクロファージ遊走阻止因子MIFをターゲットとしたペプチド阻害剤の設計を目指すものである.近年、各種タンパク質の阻害剤としてペプチド阻害剤が注目を集めているが、現在のところ合理的かつ系統的な開発手法は構築されていない.本研究では、ペプチド阻害剤の合理的な設計法の構築を目的として、ファージディスプレイ法、X線結晶構造解析法、およびSPR法を組み合わせることにより、汎用性をもった迅速かつ合理的なペプチド阻害剤開発法の確立を目指す.本研究においてはMIFをパイロットケースとして用いているが、このタンパク質は過度の炎症反応など諸疾患の治療を目指した創薬ターゲットとして非常に有用であるとともに、阻害ペプチドとの複合体の構造情報から当該タンパク質の生理学的機能を明らかにすることにより、新たな医薬開発を生み出す可能性もまた有している.MIFタンパク質の阻害ペプチドの候補として、本研究では5種類のペプチド鎖がファージディスプレイ法によって得られている.MIF-ペプチド複合体の結晶構造解析に向けたMIFタンパク質の調製には、大腸菌による大量発現系を用いた.ヒト由来のMIF遺伝子をpET22bベクターに挿入することにより発現ベクターを作製した.発現ベクターは、C末端側にHisタグを付加するベクターについてもまた作製した.大腸菌により大量発現された野生型MIFタンパク質は、陽イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーにより単離精製を行い、約15mg/mLまで濃縮し、精製サンプルとした.5種類の候補ペプチドの中から、可溶性が最も高いと予測されるペプチド鎖を1種類選択し、MIFタンパク質との複合体形成実験を行った.得られた複合体溶液を用いて結晶化スクリーニングを行ったところ、いくつかの条件において結晶が成長し、その再現性が確認された.
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