2008 Fiscal Year Annual Research Report
MIFタンパク質をパイロットケースとした新規ペプチド阻害剤設計法の開発
Project/Area Number |
19890196
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
居弥口 大介 Health Sciences University of Hokkaido, 薬学部, 助教 (00433425)
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Keywords | マクロファージ遊走阻止因子 / MIF / ペプチド阻害剤 / X線結晶構造解析 / タンパク質結晶 |
Research Abstract |
本研究課題は,ファージディスプレイ法, SPR法,およびX線結晶構造解析法を組み合わせることにより,汎用性をもった迅速かつ合理的なペプチド阻害剤設計法を構築することを目的としており,マクロファージ遊走阻止因子MIFをパイロットケースとして用いている, MIFは過剰発現することにより過度の炎症反応を引き起こすことから,各種炎症性疾患の治療を目指した創薬ターゲットとして非常に有用である. MIFタンパク質の候補阻害ペプチドとして,5種類のペプチド鎖がファージディスプレイ法によって得られている. MIF-ペプチド複合体結晶の作製およびMIF-ペプチド間の相互作用解析のため,ヒト曲来MIFの大量発現系および大量精製法を構築した.さらにSPR法を用いたペプチド-MIF間の相互作用解析法もまた確立した.5種類のペプチドのMIFに対する親和性をSPR法により評価した結果,これらのペプチドはMIFに対してマイクロモル・オーダーの解離定数を有しており,非常に親和性が高いことが明らかとなった.また,これら5種類のうち最も親和性が高いペプチドとMIFの複合体を形成したところ,X線回折データ収集が可能な大きさを有する単結晶を得ることに成功した.これらの実験結果から,ファージディスプレイ法により得られたペプチドがターゲットタンパク質に対して十分な結合親和性を有すること,およびペプチドの結合親和性評価法としてSPR法が効果的であることが明らかとなった.さらにSPR法によって評価されたペプチドとターゲットタンパク質の共結晶化が実現された.今後は, X線回折データを収集して構造学的情報を得ることにより,ファージディスプレイ法,SPR法,およびX線結晶構造解析法を組み合わせたペプチド阻害剤設計法の基盤構築が可能となる.
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