2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890198
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
近田 真美子 Health Sciences University of Hokkaido, 看護福祉学部, 助教 (00453283)
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Keywords | うつ病患者の看護 / 状況構成 / うつ病の回復過程 / うつ病の予防 / 価値観 |
Research Abstract |
本研究の目的は、うつ病の回復過程における価値観や生き方の変化を「状況構成」(Tellenbach、1976)の視点から具体的に捉え、その特徴を明らかにすることである。 今年度は、うつ病患者を対象とした集団認知行動療法に1年間参加し、うつ病の回復過程の実態を観察した。さらに、うつ病回復者9名に半構成的インタビューを行った。インタビュー期間は約10カ月であり、1名につき3、4回実施した。得られたデータを質的に分析し、状況構成の軸と、《発病まで》《発病時》《現在》までの時間軸に分類し、過去のデータと照らし合わせながら「状況構成」の変化を分析した。 その結果、対象者は、これまでの状況構成が通用しない状況で発症しており、回復過程において状況構成の変化がみられていた。変化の共通点として、1)職業領域から自己領域ヘシフトしていたこと、2)対人関係から撤退する期間が存在していたこと、3)ありのままの自分を吐き出せる「受けとめ」としての役割をとる人や環境が存在していたことが明らかとなった。 以上より、看護援助の視点として、自己との和解を視野に入れ、身体性の回復を図ること、1人ひとりの状況構成を考慮した上で一体化していた領域から一旦引き離す必要があること、状況構成を脅かすことのない他者や環境の存在により状況構成が変化する契機となり得る可能性があることが示唆された。
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