2008 Fiscal Year Annual Research Report
時計遺伝子に着目したインスリン抵抗性発症の機序解明
Project/Area Number |
19890202
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
牛島 健太郎 Jichi Medical University, 医学部, 助教 (70448843)
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Keywords | 生体リズム / 遺伝子発現 / 高カロリー食 |
Research Abstract |
インスリン抵抗性における時計遺伝子の関与を明らかにするため、高脂肪食負荷による検討に加え、平成20年度では外的要因により体内時計を破綻させることを目的として、ストレス負荷によりインスリン抵抗性が惹起されるか否か検討した。本検討は、生活環境の変化による体内時計の破綻が内分泌異常疾患を引き起こすことを明らかにするためには、意義深いものと考えられる。 マウスに外的ストレス刺激を7日間行ったところ、末梢臓器における時計遺伝子発現量の減少が認められた。発現量が減少した時計遺伝子は、体内時計システムの中でアキレス腱的存在である「朝型」の時計遺伝子に著明であった。このマウスに対してインスリン負荷テストを行ったところ、インスリン抵抗性は認められなかった。一方、経口ブドウ糖負荷テストではストレス負荷マウスにおいて高血糖を示した。つまり、反復ストレス刺激を負荷したマウスでは、末梢臓器における時計遺伝子発現が低下し、耐糖能異常を認めた。これらの結果より時計遺伝子発現リズムの破綻が耐糖能異常を惹起する可能性がある。 しかしながら、外的ストレズ負荷により時計遺伝子発現リズムは減弱したものの、ストレス負荷に伴う副腎皮質ホルモン分泌亢進の影響は無視できない。さらに、ストレス負荷により耐糖能異常が惹起され、その結果時計遺伝子発現異常が引き起こされたとも考えられる。今後副腎摘出マウスや臓器特異的時計遺伝子改変マウスを用いて、ストレス負荷による耐糖能異常には体内時計機能の破綻が引き金となっていることを明らかにする必要がある。
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