2007 Fiscal Year Annual Research Report
先天性心疾患をもつ子どものボディイメージ-身体のコントロール感の獲得過程-
Project/Area Number |
19890204
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
青木 雅子 International University of Health and Welfare, 保険医療学部, 助教 (00453415)
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Keywords | 先天性心疾患 / 子ども / ボディイメージ |
Research Abstract |
本研究は、先天性心疾患をもつ子どもを、従来の心臓病学からのアプローチにとどまらず子ども自身の見地から包括的に理解することを目的としている。その際、身体について心に抱くイメージであり、自己を最も具現的に表す"ボディイメージ"に焦点を当てている。本年度は、ボディイメージ形成過程として布置した『あたりまえさの創造』を構成する6つの現象の中で、最も身体に根ざしている「体内に宿る調整力の発揮」に特化し、小学生から高校生を対象にインタビューした内容を、グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて継続比較検討をしている。 現段階では、体内に組み込まれた独自の〈体調の把握〉や〈調整の仕方〉が発揮され、〈コントロール感の獲得〉に至ると考える。しかし、これらに影響を及ぼす自分の身体や病気の理解の仕方、つまり〈身体への解答〉と〈身体への誤解〉がただ単にそれらの正誤により〈コントロール感の獲得〉と〈コントロール不能〉に関与してはいなかった。たとえ〈身体への誤解〉のまま生活していてもコントロール感を実感し、自尊心を高めて安定した自己構築に至っている場合もあった。これには、現在の体調の良し悪しの影響もあるが、そればかりではなく、病気や体調の悪さがあっても〈自分を強化する理解〉や〈発想の転換を図る力〉が備わっていると考えられた。このことから、〈身体への解答〉と〈身体への誤解〉によらず〈コントロール感の獲得〉を可能にするための〈自分を強化する理解〉と〈発想の転換を図る力〉についての関連性の明確化が今後の分析課題となる。調整力を内在化し、それを発揮してコントロール感を獲得する過程の特徴は、たとえ病気を有する状態であっても自分なりに『あたりまえさの創造』をし、その子なりの安定した自己構築を導くことにおける具体的な支援につながると考える。 なお、カテゴリーは抽象度が高い順に『』「」〈〉で表した。
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