2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規マクロファージ細菌貪食レセプターの同定および機能解析
Project/Area Number |
19890210
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中山 勝文 Juntendo University, 医学部, 助教 (20453582)
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Keywords | 樹状細胞 / 貪食 / 死細胞 / クロスプレゼンテーション |
Research Abstract |
マクロファージや樹状細胞(DC)といった貪食細胞は、生体内に侵入した細菌などの病原体を貪食することによって感染防御の砦として機能しているだけでなく、生体内でアポトーシスに陥った死細胞を貪食することによって末梢のトレランス維持に関与していると考えられている。マクロファージの貪食機構についてはこれまでに詳細に解析されているものの、DCのそれについてはあまり分かってない。とりわけマウス脾臓CD8+DC細胞は死細胞貪食能力が高く、また死細胞由来の抗原をMHC-classIに提示(クロスプレゼンテーション)する唯一の生体内DCサブセットであることが報告されているが、その死細胞認識機構は全く分かっていない。今回我々は、T cell immunoglobulin mucin-3(Tim-3)がその機構に関与することを見出した。HEK293Tに発現させたTim-3はその細胞外領域に存在するIgVドメインのFGloopを介して死細胞を認識し、そのファゴソームに集積し、その死細胞認識は我々が樹立した抗マウスTim-3モノクローナル抗体RMT3-23によりほぼ完全に抑制された。次に我々は脾臓CD8+DC上にTim-3の発現が高いことを見出し、そのDCサブセットによる死細胞貪食およびそのクロスプレゼンテーションはRMT3-23で約50%抑制されることをin vitroおよびin vivo実験系により明らかにした。これらの結果は、Tim-3はCD8+DCの死細胞認識レセプターとして機能する重要な分子であることを示唆する。Tim-3はリステリアなどの細胞内細菌やウイルスに感染した細胞に対するCD8+細胞傷害性T細胞の誘導やまた末梢の自己反応性CD8+T細胞のトレランス誘導にも関与している可能性が考えられ、現在それらの役割についても検討中である。
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